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検証

Claude Code報告の数値と定義を3文書照合

Anthropic が2026年6月16日に公開した Claude Code の利用分析は、コードが1行以上追加または変更されたセッションのうち、ソフトウェア関連職の verified success(確認された成功)が34%、それ以外の判別できた職種が29%だったと記載しています。この「成功」は会話記録をモデルが読んで判定したもので、職種を推定できた約70%のセッションだけが職種分析の対象です。

最終確認
2026-08-15
対象
Anthropic「Agentic coding and persistent returns to expertise」(2026年6月16日公開)とその Appendix
確認範囲
リサーチページ本文と、レポートPDF・付録PDFの本文・図・表。数値の再計算はしていない
分析から除かれているもの
職種分析は約30%のセッション、成功の分析は約7.7%のセッション
更新周期
更新なし

この結果は「職種で成果に差がない」ことを示しているか

示していません。示されているのは、会話記録から判定した成功の割合が、職種の区分によってどれだけ違ったかです。レポート自身が「実世界の成果は測定できていない」と明記しています。

39.8万セッション
23.5万ユーザー
34% ソフトウェア関連職
29% それ以外の職種

34%と29%は、コードが1行以上追加または変更されたセッションに限った verified success(確認された成功)の値。verified success とは、会話記録を読んだ分類器が Succeeded と判定し、かつ作業に対応するコミット、PRの作成またはマージ、テスト通過、目的に合う出力を返したコマンドの完了、利用者の明示的な確認、利用者が明示的に確認した最終成果物のいずれかが会話記録に現れたセッションを指す。

原文の該当箇所は次のとおりです。

Software engineers and users in other “computer and mathematical occupations” reach verified success in about 30% of their sessions overall, where users from other professions reach verified success about 26% of the time. Among sessions that produce code (i.e., sessions that add or modify at least one line of code), those numbers are 34% and 29% respectively. (レポートPDF 4.2節)

同じ箇所を、リサーチページは次の文で始めています。

People in software-related occupations reach verified success in about 30% of their sessions overall, while users from other professions reach verified success about 26% of the time. (リサーチページ

「差は小さい」という評価は、レポート本文の表現です。原文は That five-point gap is small, and it has neither widened nor narrowed over seven months, even as the success rates in both groups increased. と書いています。この記事は、その5ポイントが小さいかどうかを判定しません。

何件を数えた分析で、何が除かれているか

付録PDFによれば、対象は39万8198セッション、23万4751ユーザーです。第三者IDE経由・SDK経由・人間のターンが0のセッション・Anthropic社内の利用は、あらかじめ対象から外れています。

項目記載されている内容出典
セッション数398,198(Claude Code のトラフィックから一様ランダムに抽出)付録PDF「Sample」
ユーザー数234,751。うち73,066人が2回以上、6,382人が5回超、1,413人が10回超付録PDF「Sample」
対象期間2025年10月〜2026年4月(inclusive)付録PDF「Sample」
対象の経路Claude Code の CLI、デスクトップアプリ、claude.ai付録PDF「Sample」
対象外第三者IDE経由、SDK経由、人間のターンが0のセッション(claude -p のヘッドレス実行)、Anthropic社内の利用付録PDF「Sample」
職種分析から除外利用者プロフィールが Unclear のセッション(約30%)付録PDF「Derived measures and definitions」
成功の分析から除外目標が明確でない(no clear goal)セッション、全体の約7.7%レポート本文4節
回帰分析の件数Table A1 のキャプションは375,687セッションと書き、列(4)〜(6)がそれより少ない理由を columns (4)-(6) have fewer due to cells that fell under the aggregation limit と説明している。表の Sessions 行は列(1)〜(3)が359,586、(4)が353,347、(5)が351,603、(6)が302,647付録PDF 25ページ Table A1(キャプションと表本体)

Table A1 のキャプションが説明しているのは、列(4)〜(6)のセッション数がキャプションの375,687より少ないことについてです。集計の下限(aggregation limit)を下回るセルがあるため、と書かれています。一方、列(1)〜(3)の359,586と375,687の差(16,101セッション)については、付録PDF 25ページを画像として開いて確認した範囲では、説明にあたる記述が見当たりません。

職種の推定について、レポート本文は We were able to infer occupation in about 70% of sessions. と書いています。付録の定義節は、除外を次のように明記しています。

Sessions whose user profile is Unclear are excluded from occupation analyses (about 30% of sessions). (付録PDF「Derived measures and definitions」)

職種の分類器は、コードを書いているという事実を職業の根拠にしないよう指示されています。付録に載っている分類器プロンプトには The fact that someone is writing code in Claude Code is NOT evidence they are a software developer by profession — every CC user writes code. とあり、CLAUDE.md ファイル・ディレクトリ名・参照している成果物・語彙などの側面的な手がかりから判断させる設計です。手がかりがない場合は Unclear になります。

「成功」はどう定義されているか

付録PDFの定義節に、5つの語がそれぞれ定義されています。verified success は「Succeeded と判定され、かつ成功シグナルが4以上」という2条件です。

verified success
(確認された成功)
原文:A session reaches verified success when the outcome classifier judges it Succeeded AND the success-signal classifier scores 4 or 5—i.e., the transcript carries at least one hard verifiable signal (a matching commit, a passing test suite, a command completing with output matching the objective, or explicit user confirmation).
結果の分類器が Succeeded と判定し、かつ成功シグナルの分類器が4または5を付けたセッション。スコア4の原文は At least one HARD verifiable success signal: a git commit whose message matches the work, a PR opened or merged, a test suite passing on the change, a command running to completion with output matching the stated objective, an explicit user affirmation (‘thanks’, ‘perfect’, ‘ship it’, ‘this works’, ‘exactly right’, concrete praise), OR a final artifact the user explicitly confirms. One hard signal, on its own. で、作業に対応するコミット、PRの作成またはマージ、変更に対するテスト通過、目的に合う出力を返したコマンドの完了、利用者の明示的な肯定、利用者が明示的に確認した最終成果物の6つが並んでいます。5は MULTIPLE corroborating hard signals、すなわちこれらが複数そろった場合と定義されています。
judged success
(判定された成功)
会話記録全体を読み、Succeeded/Partially Succeeded/Failed/No clear goal の4択から1つを選ばせる分類器の出力。付録のプロンプトには verifiable wins (commits, test passes, explicit ‘ship it’) and inferred wins (clean ending with no complaint) both belong in ‘Succeeded’ とあり、証拠の強さは測っていません。
hits trouble
(つまずいた)
原文:A session hits trouble when the failure-signal classifier scores 3 or higher: concrete evidence of struggle—an error, a failed test, an abandoned sub-task, repeated attempts, or the user pushing back.
abandoned
(放棄)
原文:A troubled session is abandoned when the outcome classifier judges it Failed AND telemetry records zero lines of code added.
wrote code
(コードを書いた)
原文:A session wrote code when telemetry records at least one line of code added.
ソフトウェア関連職
原文:A user is counted in software-related occupations when the user-profile occupation classifier returns Computer and Mathematical; “other identified professions” are all other SOC major groups. 職業区分は米国労働統計局のSOC分類の23大分類です。

分類器の実行条件も付録に書かれています。各ターンは中央で5,000文字に、会話記録全体は25,000文字に切り詰めたうえでモデルに渡されます。分類器はタスク価値の推定を除き Claude Sonnet 4.6(temperature 0.2)で、タスク価値の推定は要約に Claude Haiku 4.5、価格付けに Opus 4.7 を使うと記載されています。

職種別の数値はどうなっているか

2区分では、全セッションで30%と26%、コードを生成したセッションで34%と29%です。上位10職種それぞれの値は Figure 6 の図の中に印字されており、verified success は27%から37%の範囲にあります。

集計の対象(分母)成功の定義ソフトウェア関連職それ以外の判別できた職種記載場所
全セッションverified success約30%約26%リサーチページ/レポートPDF 4.2節
コードを生成したセッションverified success34%29%リサーチページ/レポートPDF 4.2節
コードを生成したセッションat least partial success89%88%リサーチページで確認。レポートPDF 4.2節・付録PDFで確認した範囲では記載なし

「コードを生成したセッション」の範囲は、文書によって表記が分かれます。レポート本文は sessions that add or modify at least one line of code、Figure 6 のキャプションは sessions that add or change at least one line of code、付録の wrote code の定義は telemetry records at least one line of code added です。追加だけを数えるのか、変更を含むのかは、この3つの表記からは一つに定まりません。

89%と88%は、Succeeded に加えて Partially Succeeded を含むゆるい定義の値です。34%・29%と分母は同じ(コードを生成したセッション)で、違うのは成功の定義です。

上位10職種の数値(Figure 6)

上位10職種それぞれの数値は、Figure 6 の図の中に印字されています。次の表は、レポートPDF の15ページを画像として開き、各バーの上に印字された値を読み取ったものです。3つの文書の本文で確認した範囲では、職種ごとのこれらの数値は本文テキストには書かれていません。

職種(図の表記)verified successjudged successat least partial success
Software & math34%60%94%
Management37%55%95%
Legal33%57%95%
Business & Finance29%54%93%
Healthcare28%56%93%
Arts, Design & Media28%53%92%
Sales28%51%92%
Architecture & Engineering27%54%93%
Education27%52%92%
Sciences27%54%94%

出典:レポートPDF 15ページ Figure 6 の図中に印字された値(2026-08-15 取得)。行の並びは図の上から下の順です。図には Software & math の3つの値を通る縦の破線(凡例の表記は Software & math benchmarks)が引かれ、各バーの端にはエラーバーが付いています。

図の見出しは Success on coding tasks by likely occupation、その下のサブタイトルは Every occupation succeeds at nearly the rate of software engineers です。図の下のキャプションは次のとおりです。

Figure 6: Success rates in coding sessions by inferred occupation Share of sessions meeting strict definitions of success—judged success and verified success—among sessions that add or change at least one line of code, by the user's inferred occupational group, for the ten largest groups. Every group is within seven percentage points of software/math users (SOC Code Computer and Mathematical Occupations). Error bars are 95% confidence intervals computed on distinct accounts.

本文側は In code-producing sessions, every one of the ten largest occupations in our dataset lands within seven points of software engineers in terms of their success. と書いています。

図の at least partial success は Software & math が94%で、リサーチページ本文の89%・88%とは値が異なります。図は上位10職種を1つずつ示し、89%・88%はソフトウェア関連職とそれ以外をまとめた2区分の値ですが、この2つの数値の対応関係を説明する記述は、取得した3文書では確認できていません。

管理職の数値に、レポートは2つの読み方を並べている

Figure 6 の Management は、verified success が37%、judged success が55%、at least partial success が95%です。レポート本文は、この値に続けて次のように書いています。

Management occupations are highest on verified success, slightly above the software engineering occupations. Their higher verified success rates may reflect management skills that transfer to directing an agent. But they may also partly reflect our measurement: verification rests partially on explicit confirmation in the transcript, and managers may be more likely to communicate when they get what they ask for. (レポートPDF 14ページ 4.2節)

この段落でレポートは、読み方を2つ並べています。1つは Their higher verified success rates may reflect management skills that transfer to directing an agent.(管理技能がエージェントへの指示に移っているのかもしれない)、もう1つは they may also partly reflect our measurement(測定の仕方を一部反映しているのかもしれない)です。後者について、verified success の条件には「利用者の明示的な確認」が含まれており、求めたものが得られたときに管理職がそれを言葉にする頻度が高いかもしれない、と書かれています。レポートはどちらか一方を選んでいません。

脚注10は、分類器が管理職を取り違えていた場合について書いています。原文は次のとおりです。

Even if the model misclassifies managers, the signals relied upon to determine that the user is a likely manager—perhaps in how tasks are delegated and specified—tend to be associated with greater success. In other words, perhaps acting like a manager confers greater success. (レポートPDF 18ページ 脚注10)

管理職と判定する手がかり(作業の任せ方や指示の書き方)そのものが高い成果と結びついている、という趣旨で、後半は perhaps acting like a manager confers greater success(管理職のように振る舞うことが高い成果につながっているのかもしれない)と書かれています。

習熟度で数値はどれだけ変わるか

初心者と判定されたセッションの verified success は15%、中級以上は28〜33%です。つまずいたあとの回復と、放棄の割合にも差が記載されています。

集計の対象(分母)成功・失敗の定義novice(初心者)intermediate 以上出典
全セッションverified success15%28〜33%レポートPDF 12ページ本文/Figure 5 左パネル(13ページ)
全セッションat least partial success77%91〜92%レポートPDF 12ページ本文/Figure 5 左パネル(13ページ)
つまずいたセッションverified success4%15%(expert の値)レポートPDF 13ページ本文/Figure 5 中央パネル
つまずいたセッションat least partial success60%80〜81%(intermediate〜expert)レポートPDF 13ページ本文/Figure 5 中央パネル
つまずいたセッションabandoned19%5〜7%(それ以外全体)レポートPDF 13ページ本文/Figure 5 右パネル

**1行目の15%と3行目の15%は、分母が異なる別の指標です。**1行目は全セッションのうち novice と判定されたセッションの verified success、3行目はつまずいたセッションのうち expert と判定されたセッションの verified success です。前者は習熟度の下端、後者は上端の値で、同じ数字が別の集計に出ています。

これらは調整後の値です。Figure 5 のキャプションには Each point is an adjusted rate—we estimate the differences between expertise levels by comparing only sessions that share the same work mode, the same task-value band, the same month, the same task subject, and the same kind of user (software-related occupation or not). と記載されています。同じ作業モード・同じ推定価値帯・同じ月・同じ題材・同じ利用者区分のセッション同士を比べた結果です。

習熟度は職種でも一般的な能力でもなく、そのセッションで扱っている領域に対する習熟度として定義されています。付録の分類器プロンプトは Someone can be a senior software engineer but a beginner at Rust, SOC coding, or differential privacy — rate them on the task AT HAND, not their career. と指示しています。判定は5段階(1=Novice〜5=Expert)で、証拠が薄い場合の Unclear も選択肢にあります。

つまずいたセッションの比較について、レポートは脚注で次のように断っています。

Conditioning on trouble selects different sessions for different users. Experts hit trouble less often overall, so the troubled sessions they do have are likely to be on harder problems—using the price estimate of the session as a proxy for the complexity of the session, we see that the average estimated value of a troubled session roughly doubles from the bottom of the expertise scale to the top. Part of the gap in recovery rates may therefore reflect that novices get stuck on routine problems while experts get stuck on challenging hard problems.

習熟度の5段階それぞれのセッション数と割合は、付録の Table A2 に載っています。次の表は、付録PDF の27ページを画像として開いて読み取った値です。

習熟度SessionsUnadjusted rateCoefficient (vs. Novice)Adjusted rate
1 (Novice)5,91113.2%14.5%
2 (Beginner)73,85820.9%+6.4 (0.7)20.9%
3 (Intermediate)96,51628.0%+13.8 (0.7)28.3%
4 (Advanced)146,87929.3%+15.0 (0.7)29.5%
5 (Expert)36,42234.7%+18.4 (0.7)32.9%

出典:付録PDF 27ページ Table A2(2026-08-15 取得)。キャプションは Table A2: Verified success versus expertise, as a step function で始まり、OLS with the Column (5) fixed effects from Table A1. Standard errors in parentheses, clustered at the user level. Novice is the reference category, so its coefficient is not defined. The unadjusted rate is the raw share of sessions at each expertise level ending in verified success, with no controls. The adjusted rate holds the fixed effects constant. Excludes sessions with no clear goal. と続きます。unadjusted rate は統制なしの生の割合、adjusted rate は固定効果を一定にした値です。

本文が挙げる15%と28〜33%に対して、この表の adjusted rate は Novice が14.5%、Intermediate から Expert が28.3%〜32.9%です。Beginner(20.9%)は、本文の2つの区分のどちらにも入っていません。

1回の指示に対する Claude の動きの量も習熟度別に示されています。novice のセッションでは1プロンプトあたり約5アクション・約600語、expert では12アクション・3,200語と記載されています(Figure 3)。決定の分担については、利用者が計画上の決定の約70%、実行上の決定の約20%を担うという値が Figure 2 に示されています。

期間全体では、セッションの中身はどう分かれているか

レポート本文は、7か月を通した内訳として、作業モードの割合と、既存コードベースとの関係の2つを書いています。どちらも月ごとの推移ではなく、期間全体をまとめた値です。

作業モードの割合は、レポートPDF 4ページの本文に次のように書かれています。同じ段落はリサーチページ本文にもあり、読点と括弧の付き方だけが違います(後述の比較表を参照)。

About 56% of sessions consist of writing (25%) fixing (26%), or testing and orchestrating code 5%. Operating software comprises 17%, while 14% of sessions are planning or exploring, and 13% produce analysis or prose (Figure 1). (レポートPDF 4ページ本文)

区分(本文の表記)期間全体での割合
writing(コードを書く)25%
fixing(壊れたものを直す)26%
testing and orchestrating code(テストと、エージェントやパイプラインの差配)5%
operating software(ソフトウェアの運用)17%
planning or exploring(計画または探索)14%
analysis or prose(分析または文章の作成)13%

図の名前は The nine modes of work(9つの作業モード)で、本文はそのうちいくつかをまとめて6つの数値にしています。テストとオーケストレーション、計画と探索、分析と文章が、それぞれ1つの数値に束ねられています。9つのモードは、付録の分類器プロンプトに Plan, Build, Fix, Understand, Test, Operate, Analyze, Orchestrate, or Communicate と列挙されており、1セッションにつき1つを選ばせる設計です。プロンプトには There is NO ‘Unclear’ option — pick the BEST fit from the nine, even when evidence is thin. とあり、判断材料が乏しい場合も9つのどれかが付きます。

既存コードベースとの関係は、同じ4ページの次の段落にあります。原文は Most sessions are anchored to an existing codebase: 48% primarily modify existing code and another 17% explore code, while 14% create new code from scratch. Roughly a fifth of sessions touch no codebase at all. で、既存コードの修正が48%、コードの探索が17%、新規作成が14%、コードベースに触れないセッションが約5分の1です。この段落は、取得したリサーチページ本文では確認できませんでした。

**この17%・14%は、上の作業モードの17%(operating software)・14%(planning or exploring)とは別の集計です。**上の表はセッションが何をしようとしていたかの区分、こちらはセッションがコードベースとどう関わったかの区分で、同じ数字が別の分類に出ています。

7か月で作業の中身と推定価値はどう変わったか

壊れたコードを直すセッションの割合が33%から19%に、ソフトウェアの運用が14%から21%に、文書作成とデータ分析が約10%から20%に変化したと記載されています。推定価値の上昇率は、同じ文書の中に25%と27%の2つの数字があり、それぞれ別の対象について書かれています。

作業モード2025年10月2026年4月出典
壊れたコードを直す(fixing)33%19%レポートPDF 3.2節本文(9ページ)
ソフトウェアの運用(operating software)14%21%レポートPDF 3.2節本文(9ページ)
文書作成とデータ分析(writing and data analysis)約10%20%レポートPDF 3.2節本文(9ページ)

3つとも本文に書かれた値です。原文は The clearest change is that the share of sessions spent fixing broken code fell from 33% to 19% (Figure 4).Operating software grew from 14% to 21% of sessions.Writing and data analysis roughly doubled, from about 10% to 20% of sessions. で、3つ目は文書作成とデータ分析を合わせた値です。

**この表は月ごとの両端の値で、前節の期間全体の内訳とは別の数字です。**同じ operating software という語について、前節の期間全体では17%、この表では2025年10月が14%、2026年4月が21%と書かれています。fixing も、期間全体では26%、この表では33%から19%です。

推定価値については、レポート本文と要点欄(Key findings)が、それぞれ別の対象について上昇率を書いています。

数値何の上昇率か(原文)記載場所
27%the estimated value of the average session rose by 27% between October and April(平均的なセッションの推定価値)レポートPDF 10ページ本文/リサーチページ本文
25%the value of the typical task, ... rose in almost every kind of work, and about 25% on average(典型的なタスクの価値)レポートPDF 2ページ Key findings/リサーチページ冒頭の要点

**25%と27%は、リサーチページとレポートPDFの両方に、同じ形で併存しています。**確認できていないのは、要点欄の typical task(典型的なタスク)がどう定義された単位なのかと、この2つの値がなぜ違うのかです。3文書を確認した範囲では、両者の関係を説明する記述は見当たりません。

作業別の上昇率は、本文が about 43%, 34%, and 32%(building・operating・fixing)の3つを挙げています。Figure 4 の右パネルには、この3つと全体に加えて、もう1本の線が引かれています。

区分(Figure 4 右パネルの表記)2025年10月からの変化
build+43%
operate+34%
fix+32%
all+27%
communicate+2%

出典:レポートPDF 11ページ Figure 4 右パネルの、各線の端に印字された値(2026-08-15 取得)。縦軸の見出しは Change in estimated task value since October (%) です。communicate の値は、3つの文書の本文で確認した範囲では本文テキストに書かれておらず、図の中にだけ印字されています。要点欄の表現は rose in almost every kind of work(ほぼすべての種類の作業で上昇した)で、almost が何を指すかを名指しした記述は、3文書を確認した範囲では見当たりません。

この推定値の読み方について、本文は These price estimates are coarse, so we use them primarily to compare tasks to one another over time, not as dollar values to be read literally. と書いています。金額として文字どおり読むものではない、というのはレポート自身の記述です。

レポート自身はどんな限界を挙げているか

実世界の成果を測っていないこと、非対話型の利用が対象外であること、すべての分類がモデルの読み取りに依存すること、分類器の検証が難しいこと、価値推定が粗いことが、レポートと付録に明記されています。

実世界の成果
原文:we cannot measure real-world outcomes, like whether code written in a session is actually used or discarded thereafter, or whether it produces an economically valuable artifact. 書かれたコードがその後使われたか、捨てられたかは測定されていません。本文4節にも We do not observe users’ real-world outcomes, and we cannot ask them directly whether they got what they wanted out of Claude. とあります。
対象外の利用
原文:the non-interactive usage this report excludes is a substantial share of activity. Developing a framework to measure it is a priority for future work. 第三者IDE経由・SDK経由・ヘッドレス実行は対象に含まれていません。
モデルによる読み取り
原文:all of our classifications of sessions depend on a model’s reading of the transcript. 作業モード・習熟度・職種・結果のいずれも、会話記録をモデルが読んだ結果です。
分類器の検証
原文:classifiers remain challenging to validate at scale, and Claude Code sessions add further difficulty, as they may be too long and complex for human labels to serve as ground truth. 付録は、公開データセット SWE-chat の198セッションで参照モデル(Mythos Preview)と突き合わせた結果として、カテゴリ型の分類器で78〜98%、順序尺度の分類器で隣接値を一致と数えて78〜99%・完全一致では53〜68%の一致率を報告しています。判定者が「懸念あり」とした不一致は分類器ごとにセッションの0〜3%(最大で198件中5件)で、人手で確認した15件のうち11件で判定者と一致したと記載されています。
ラベルの読み過ぎ
原文:They do caution against over-reading any particular label, but most of the report’s conclusions rest on relative comparisons。続けて As long as the classifier’s mistakes are similar across groups (which we did not extensively verify here), those mistakes cancel each other out when making comparisons. とあり、群ごとに分類器の誤りが同じかどうかは広くは検証していない、と括弧内に書かれています。
価値推定の精度
999件の求人での検証で log R² = 0.38。付録は Within-tier discrimination is concentrated at the low end and is essentially zero above $5,000.Small jobs are over-priced about 2.4x, the largest under-priced about 7x. So, we generally use these task value estimates ordinally rather than using them to get aggregate task values. と書いています。
集計の下限
原文:every number in this report is an aggregate over a cell of sessions that is suppressed unless it contains a minimum number of distinct users. Table A1 の一部の列は、この下限を下回るセルがあるためセッション数が少ないと記載されています。
入力の切り詰め
各ターンは中央で5,000文字、会話記録全体は25,000文字に切り詰めてから分類器に渡されます。25,000文字を超えるセッションは、全文が分類器に渡されていません。

分類器ごとの一致率(付録PDF 24ページの表)

上の78〜98%・78〜99%・53〜68%という範囲は、付録の節 Classifier validation via strong-model agreement(見出しは22ページ末)の、23ページ本文に書かれた値です。その範囲のもとになる分類器ごとの値は、24ページの表に載っています。次の表は、付録PDF の24ページを画像として開いて読み取ったものです。

Classifier(表の表記)TypeExact agreementWithin 1-point agreementConcerning disagreements
Session successCategorical82%3 (2%)
Work modeCategorical78%5 (3%)
Occupation (work)Categorical98%1 (0.5%)
Occupation (user)Categorical96%2 (1%)
User expertiseOrdinal68%99%0
Failure signalOrdinal64%85%2 (1%)
Success signalOrdinal53%78%2 (1%)

出典:付録PDF 24ページの表に印字された値(2026-08-15 取得)。**この表は図として置かれており、値はテキスト抽出では出てきません。**ページを画像として開いて読み取っています。レポートPDF 15ページ Figure 6 や11ページ Figure 4 右パネルと同じ扱いです。付録PDF 24ページを画像として開いて確認した範囲では、この表に番号もキャプションも付いていません。行の並びは表の上から下の順です。

列の語は、Type が Categorical(カテゴリ型)と Ordinal(順序尺度)、Exact agreement が完全一致、Within 1-point agreement が隣接する尺度点までを一致と数えた場合、Concerning disagreements が判定者(blind judge)が concerning と分類した不一致の件数(括弧内は198セッションに対する割合)です。カテゴリ型には隣接する尺度点がないため、Within 1-point agreement 欄は「—」です。

verified success の2条件のうち、成功シグナルは付録の定義節で the success-signal classifier と書かれ、分類器プロンプトを並べた節の見出しも Success signal です。表の Success signal 行がこれにあたり、完全一致は53%、隣接値まで含めた一致は78%です。この分類器の出力は a 1-5 ordinal scale, or NONE if there is no success-shaped signal at all と指示された1〜5の順序尺度で、シグナルが観測できない場合の NONE が別に置かれています。

verified success はこの分類器が4以上を返すことを条件に含みます。したがって、この記事が引いている verified success の数値——職種別の34%と29%、Figure 6 の Management の37%、習熟度別の15%と28〜33%——は、いずれも結果の分類器の判定と、この成功シグナルの分類器の出力の2つの上に立っています。

Concerning disagreements について、付録23ページの本文は、判定者が不一致ごとに whether the disagreement was due to genuine ambiguity (it could go either way) or represented a clear failure on the part of the report’s classifier(本質的な曖昧さによるものか、レポート側の分類器の明確な誤りにあたるか)を注記したと書き、続けて concerning disagreements are 0-3% of sessions per classifier (at most 5 of 198) としています。どの注記が concerning にあたるかを定めた記述は、付録PDFを確認した範囲では見当たりません。

内部検証として、Anthropic社内の Claude Code セッション(本編のサンプルからは除外されている)で、コミットが main ブランチに入ったかどうかと突き合わせた結果も記載されています。原文は judged success rises by roughly 3–5 percentage points per expertise level with author fixed effects, and sessions at higher rated expertise are more likely to produce code that lands. です。

リサーチページとPDFで記述は一致しているか

一致していない箇所があります。ゆるい定義の89%・88%はリサーチページに記載があり、レポートPDF 4.2節の本文には記載がありません。つまずいた判定のしきい値も、文書によって表記が分かれています。

項目リサーチページレポートPDF付録PDF
at least partial success 89%/88% の文記載あり4.2節(14ページ)を画像で確認した範囲では記載なし抽出したテキストで確認した範囲では記載なし
hits trouble のしきい値Figure 5 キャプション「failure signals > 3」Figure 5 キャプション「failure signals ≥ 3」「scores 3 or higher」
セッション数・ユーザー数~400,000 sessions from ~235,000 people同左398,198 sessions/234,751 users
コードを生成したセッションの表記本文 add or modify/Figure 6 キャプション add or change同左wrote code の定義は at least one line of code added
Figure 6 の見出しVerified and judged success rates in coding sessions by inferred occupationSuccess rates in coding sessions by inferred occupation
著者Zoe Hitzig, Maxim Massenkoff, Eva Lyubich, Shaoyi Zhang, Ryan Heller, Peter McCrory表紙・引用ともに Shaoyi Zhang を含まない5名
引用のURLhttps://www.anthropic.com/research/claude-code-expertisehttps://www.anthropic.com/research/research/claude-code-expertise
コードベースとの関係(48%/17%/14%)の段落取得したページ本文で確認できず記載あり
作業モードの割合(56%)の段落writing (25%), fixing (26%), or testing and orchestrating code (5%)writing (25%) fixing (26%), or testing and orchestrating code 5%(読点と括弧の有無が異なる)抽出したテキストで確認した範囲では記載なし

しきい値については、レポートPDFと付録PDFがどちらも「3以上」を指す表記で、リサーチページのキャプションだけが「3より大きい」と読める表記になっています。レポートPDF 13ページの Figure 5 キャプションは、テキスト抽出でも、そのページを画像として開いた場合も failure signals ≥ 3 です。どちらが正しいかは、この記事では判定していません。

ゆるい定義(at least partial success)での職種別の数値は、リサーチページには記載があり、レポートPDF 4.2節を画像として開いて確認した範囲では記載がありません。3つの文書はいずれも最終確認日(2026-08-15)に取得し、テキストの抽出と、図・表のあるページを画像として開く方法の両方で照合しています。

付録PDFの中で本文と表が合っていない箇所

上の表は3つの文書のあいだの違いを並べたものですが、これとは別に、付録PDFの内部で本文段落と表の内容が合っていない箇所があります。

付録25ページの見出し Verified success by expertise level (step function) の下の本文段落は、Table A2 について次のように書いています。

Table A1 assumes that expertise is a linear scale, i.e., that each step of the expertise scale is worth the same. Table A2 instead uses an indicator for each level of the expertise scale, under the Table A1 column-(5) fixed effects, with Novice as the omitted category. It is the construction behind Figure 6.

一方、付録27ページの Table A2 本体のキャプションは Table A2: Verified success versus expertise, as a step function で始まり、表の中身は習熟度の5段階です。習熟度と結末を扱う図はレポートPDFの Figure 5、職種別を扱う図が Figure 6 で、これはそれぞれのキャプションに書かれています。the construction behind Figure 6 という句は Table A2 のキャプションにはなく、表の直前の本文段落の末尾にあります。

何を確認できて、何を確認できなかったか

3つの文書の本文と、この記事で数値を引いた図・表は取得できました。取得できなかったものと、レポート側が数値を書いていないものは、性質が違うので分けて示します。

取得したもの。

図の中の数値をこの記事に引いた図と、引いていない図。

レポート側に数値の記載を確認できなかったもの(3文書を確認した範囲。この記事の取得不足ではありません)。

数値以外で、記載を確認できなかったもの。

この数字から何を言えて、何を言えないか

言えるのは、レポートが定義した成功の指標で、職種区分ごとの割合がいくつだったかまでです。職種によって実務の成果が変わるかどうかは、この調査からは出てきません。

言えること

職種別の値
コードが1行以上追加または変更されたセッションで、verified success はソフトウェア関連職が34%、それ以外の判別できた職種が29%。全セッションではそれぞれ約30%と約26%です。
上位10職種の値
Figure 6 の図中に印字された verified success は、Software & math 34%、Management 37%、Legal 33%、Business & Finance 29%、Healthcare 28%、Arts, Design & Media 28%、Sales 28%、Architecture & Engineering 27%、Education 27%、Sciences 27%。judged success は51〜60%、at least partial success は92〜95%の範囲にあります。キャプションは、上位10職種のすべてが software/math から7ポイント以内に収まると記載しています。
数値の出所
上の10職種の値は、レポートPDF 15ページ Figure 6 の図の中に印字されたものです。3つの文書の本文で確認した範囲では、職種ごとの数値は本文テキストには書かれていません。本文が書いているのは「7ポイント以内」という記述と、2区分の34%・29%までです。
「成功」の中身
34%・29%は、上の定義節に挙げた2条件(Succeeded の判定と、成功シグナル4以上)を満たしたセッションの割合です。成果が業務で使われたかどうかは、この条件に入っていません。
2つの定義は別物
89%・88%は Partially Succeeded を含むゆるい定義の値で、34%・29%とは分母が同じで成功の定義が違います。同じ「成功」という語でも、並べて差を語ることはできません。
推定価値の位置づけ
27%(本文)は平均的なセッションの推定価値、25%(要点欄)は典型的なタスクの価値について書かれた上昇率で、対象が違います。typical task がどう定義された単位なのかと、2つの値が違う理由は、3文書を確認した範囲では記載が見当たりません。レポートは価格推定を primarily to compare tasks to one another over time, not as dollar values to be read literally と書いており、時点間・作業間の比較に使う値として提示されています。
分母
34%・29%の分母は、コードが1行以上追加または変更されたセッションです。全セッションではありません。ただし、追加だけを数えるのか変更を含むのかは、3つの文書で表記が分かれています。
習熟度別の値
15%(novice)と28〜33%(intermediate 以上)は、作業モード・推定価値帯・月・題材・利用者区分をそろえて比べた調整後の値です。生の割合ではありません。
習熟度は職種ではない
習熟度の分類器は、そのセッションで扱っている領域への習熟度を判定するもので、職業や一般的な能力を判定していません。分類器プロンプトにその指示が明記されています。

言えないこと

実務の成果
職種によって実務の成果に差があるかどうか。レポートは we cannot measure real-world outcomes と明記しており、セッションで書かれたコードがその後使われたかは測定されていません。
判別できなかった約30%
職種を推定できなかったセッションの成功率。職種分析は、利用者プロフィールが Unclear のセッション(約30%)を除いた集計です。除かれたセッションが残りと同じ傾向かどうかは、この調査からは分かりません。
管理職の評価
管理職が他の職種より成果を出しているかどうか。Figure 6 の Management は verified success 37%ですが、レポートはこの値の読み方を2つ並べています。1つは管理技能がエージェントへの指示に移っているのかもしれないという読み方、もう1つは、verified success が会話中の明示的な確認に一部依存しており、管理職は求めたものが得られたときに伝える傾向があるかもしれないという、測定上の可能性です。脚注10はさらに、分類器が管理職を取り違えていた場合についても perhaps acting like a manager confers greater success と書いています。レポートはどれか1つを選んでおらず、この数値だけからどれが当たっているかを決めることはできません。
5ポイントの解釈
34%と29%の差を、能力の差として読むこと。付録は As long as the classifier’s mistakes are similar across groups (which we did not extensively verify here) と書いており、群ごとに分類器の誤りが同じかどうかは広くは検証されていません。
金額
推定価値をドル建ての金額として読むこと。付録は we generally use these task value estimates ordinally と書き、小さい仕事は約2.4倍高く、大きい仕事は約7倍低く見積もられると記載しています。999件の求人での検証は log R² = 0.38、5,000ドル超では階層内の判別が実質ゼロとされています。
上昇率の一意の値
7か月の推定価値の上昇率を、25%か27%かの一方に決めること。27%は平均的なセッション、25%は典型的なタスクについての値で、対象が違います。typical task の定義と、2つの値が違う理由の記載は、3文書を確認した範囲では見当たりません。したがって、上昇率を1つの数値として引用することはできません。
食い違いが判定を変えるかどうか
完全一致53%・隣接値まで78%という数字のうち、verified success の判定を変える食い違いがどれだけあるか。verified success の条件は成功シグナルが4以上であるため、4と5の食い違いは判定を変えず、3と4の食い違いは変えます。付録24ページの表が示すのは一致率と Concerning disagreements の件数までで、食い違いが尺度(1〜5とNONE)のどこで起きたかの内訳は、付録PDFを確認した範囲では記載がありません。したがって、この53%・78%から、判定が変わる向きの食い違いがどれだけ含まれるかを出すことはできません。また、この一致率は198セッションの SWE-chat を対象に測ったもので、本編の39万8198セッションに対して測り直した値は、3文書を確認した範囲では見当たりません。
利用全体の姿
Claude Code の利用全体について述べること。第三者IDE経由・SDK経由・ヘッドレス実行は対象外で、レポート自身がそれを a substantial share of activity と書いています。
他のツール
他のコーディングエージェントで同じ数値になるかどうか。対象は Claude Code のセッションだけです。
職種の実在
職種の区分が利用者の実際の職業と一致しているかどうか。職種は会話記録の側面的な手がかりからモデルが推定したもので、申告や人事情報に基づくものではありません。

この記事は何を出典にしているか

  1. Anthropic|Agentic coding and persistent returns to expertise(リサーチページ・2026年6月16日)
  2. Anthropic|Agentic coding and persistent returns to expertise(レポートPDF・全18ページ)
  3. Anthropic|Appendix to “Agentic Coding and Persistent Returns to Expertise”(付録PDF・全27ページ)
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