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検証

中小企業AI調査16個の数字の分母を調査票で確認

独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」で示されたAIの導入率20.4%は、有効回収数1,668ではなく、図13に n=1,647 と印字された数を100%とした割合です。この記事は、公表された調査票の対象者指定と各図表のnを突き合わせ、主要な16個の数字について100%が誰かを設問単位で確定させます。

最終確認
2026-08-19
対象
中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(令和8年3月)全体版・ポイント版
確認範囲
報告書に印字された数値と、報告書54ページ以降に収録された調査票の記載。他の調査との数値比較は行っていない
更新周期
更新なし

この調査の20.4%は、何社を100%とした数字か

問3②(AI等ツール・サービスの導入状況)に答えた1,647社を100%とした割合です。調査全体の有効回収数1,668とは別の数です。

20.4% AIの導入率
1,647図13のn(AI)
1,668有効回収数
212つの数の差

全体版7ページの図のキャプションは「図 13(問3 AI・IT の導入状況)」で、この図が置かれた節の見出しは「(1)AI・IT の導入状況(単一回答)」です。図13には、AIの行に n=1,647、ITの行に n=1,663 と印字されています。AIの内訳は「全社的に導入している」3.6%、「一部の業務で導入している」16.8%、「導入を予定・検討中」18.6%、「導入予定はない」61.0%です。本文は前の2つを【既に導入している】としてまとめ、20.4%と記載しています。同じ数値は28ページの図44にも n=1,647、【導入率】20.4% として再掲されています。

いっぽう調査全体の有効回収数は、2ページの表1(有効回答数)に、配布数10,000社・有効回収数1,668・有効回収率16.7%と記載されています。**20.4%の分母は1,647であって、1,668ではありません。**差の21件について、報告書に個別の説明を確認できた範囲では、2ページ「報告書の読み方」の(4)「各設問の『無回答』は集計母数から除外して、割合を算出している」という記載までです。

出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」全体版(令和8年3月)2ページ・7ページ・28ページ。全体版PDF

主要な数字は、それぞれ何社を100%としているか

下の16個は、分母が49から1,647まで分かれます。「調査票に書かれた対象者」の列は、報告書54ページ以降に収録された調査票からの書き写しです。

表に採ったのは、報告書の図に印字されている割合です。1つの図でAIとITを並べている図(図13・図15・図18・図23・図30)はAI側だけを採り、AI専用の図(図16・図19)はその値を採りました。IT側だけの設問(問4など)は入れていません。問13の図33と問17の図37は、AIとITを分けずに1本で示されているため、その値を入れています。**この表は、各図に並ぶ項目を網羅したものではありません。**分母(n)を1つずつ確定させることが目的なので、同じ図の中でも項目ごとにnが分かれる問6(2)(4部門)と問17(5項目)はすべての項目を入れ、それ以外の設問は図ごとに1項目だけを入れました。1項目だけを入れた設問では、図に並ぶ1番目の項目を採っています(図15の87.0%、図19の82.6%、図23の83.2%、図30の46.9%)。形が違うのは3つです。問3②の20.4%は、図13の1番目「全社的に導入している」3.6%と2番目「一部の業務で導入している」16.8%を、報告書が【既に導入している】としてまとめた値です。問5(2-1)の59.2%は、図16が円グラフで並びの1番目にあたる項目がないため、4区分のうち「特に目標は決めていない」を採りました。問13の88.0%は、図33が3区分を1本の帯にした図で、左から3番目に置かれています。この3つを含め、表に入れなかった区分・項目は本文の該当節に書き出しています。同じ図に並ぶ他の項目も、分母は表と同じnです。

数字設問調査票に書かれた対象者n
AIの導入率 20.4%問3②**〈記載なし〉**調査票55ページを確認した範囲では、対象者を限定する記載も「すべての方に伺います。」の記載もなし1,647
AIの導入目的「業務効率化/作業時間の短縮」87.0%問5(2)**〈明記〉**問3②AI等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方331
コスト削減目標「特に目標は決めていない」59.2%問5(2-1)**〈明記〉**問5(2)で「4.コスト削減」と回答した方49
経営・企画部門でAI導入済み 58.5%問6(2)①**〈明記〉**問3②AI等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方333
製造・生産部門でAI導入済み 34.9%問6(2)②**〈明記〉**同上321
営業・販売・サービス・アフターサービス部門でAI導入済み 60.3%問6(2)③**〈明記〉**同上325
総務・管理部門でAI導入済み 68.3%問6(2)④**〈明記〉**同上331
導入済みサービス「生成AI」82.6%問7(2)**〈明記〉**問3②AI等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方322
AIの導入効果「業務効率化/作業時間の短縮」83.2%問9(2)**〈明記〉**問3②AI等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方327
AIの阻害要因「導入にあたっての高コスト」46.9%問11(2)**〈明記〉**すべての方に伺います。1,636
推進する担当部署「特定の部署はなく、経営者・現場が個別に推進している」88.0%問13**〈記載なし〉**調査票63ページを確認した範囲では、対象者を限定する記載も「すべての方に伺います。」の記載もなし1,605
公的支援「導入費用の助成(補助金・助成金等)」が必要である 77.9%問17①**〈記載なし〉**調査票65ページを確認した範囲では、対象者を限定する記載も「すべての方に伺います。」の記載もなし1,628
公的支援「専門家の派遣や導入相談(個別コンサルティング)」が必要である 59.8%問17②**〈記載なし〉**同上1,591
公的支援「従業員向けの教育・研修(IT操作トレーニング)」が必要である 67.7%問17③**〈記載なし〉**同上1,596
公的支援「導入事例や活用事例などの情報提供」が必要である 70.5%問17④**〈記載なし〉**同上1,594
公的支援「実証実験や試行導入の機会(PoC、トライアル環境提供)」が必要である 61.3%問17⑤**〈記載なし〉**同上1,578

「調査票に書かれた対象者」の列は、2種類に分かれます。**〈明記〉は、調査票に置かれた対象者の行をそのまま書き写したものです。〈記載なし〉**は、調査票の該当ページを確認した範囲で、対象者を限定する記載も「すべての方に伺います。」の記載も見当たらなかったことを指します。〈記載なし〉の3問について、全回答者に聞いた設問だと確認できたわけではありません。問17の①〜⑤は、調査票65ページに並ぶ選択肢の番号です。また、問13と問17の行はAIとITを分けずに聞いた設問の値で、AIだけを取り出した割合ではありません(後述)。

nの出どころは、図13(1,647)、図15(331)、図16(49)、図18(333・321・325・331)、図19(322)、図23(327)、図30(1,636)、図33(1,605)、図37(1,628・1,591・1,596・1,594・1,578)です。図15・図23・図30のnは本文には書かれておらず、グラフの凡例に「AI(n=331)」「AI(n=327)」「AI(n=1,636)」の形で印字されています。

導入済み企業だけに聞いた設問はどれか

問5(2)・問6(2)・問7(2)・問9(2)です。いずれも調査票に「問3②AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」と対象が指定され、nは300台になります。

報告書の本文側にも、各節の見出しの下に対象者の注記が置かれています。8ページ(3-1)導入目的には「※AI/ITを【既に導入している】と回答した方のみ」、10ページ(4)業務分野別導入状況には「※AI・ITを【既に導入している】と回答した方のみ」、11ページ(5-1)AIの導入済みサービスには「※AIを【既に導入している】と回答した方のみ」、13ページ(1-1)AI・ITの導入効果には「※AI・ITを【既に導入している】と回答した方のみ」と記載されています。

生成AI 82.6%
図19(問7(2) AIの導入済みサービス)は n=322。同じ図の他の値は、音声認識・音声対話AI 29.8%、画像認識AI 11.2%、需要予測AI 8.1%、異常検知AI 4.3%、その他7.5%です。複数回答の設問です。
導入目的 87.0%
図15(問5 AI・ITの導入目的)は AI n=331 / IT n=920。ポイント版の図表6には、同じ設問の全体が上段「331」件、業務効率化/作業時間の短縮が「288」件、下段87.0%と、件数と割合の両方で示されています。同じ図のAI側の他の項目は、品質向上32.3%、人手不足対応31.7%、付加価値創出24.5%、エラー・ミスの軽減24.2%、売上拡大・顧客獲得22.1%、コスト削減14.8%、その他2.7%で、8項目とも n=331 が分母です。複数回答の設問です。
業務分野別
図18(問6)のAI側は、部門ごとにnが異なります。経営・企画部門 n=333、製造・生産部門 n=321、営業・販売・サービス・アフターサービス部門 n=325、総務・管理部門 n=331。【既に導入している】は「一定の成果を上げている」と「一定の成果を上げ、さらなる拡張を検討中」の合計で、経営・企画58.5%、製造・生産34.9%、営業・販売60.3%、総務・管理68.3%です。この合計値そのものは、10ページの本文に「[総務・管理部門]が 68.3%」「[営業・販売・サービス・アフターサービス部門](60.3%)」「[経営・企画部門](58.5%)」「[製造・生産部門](34.9%)」と印字されているほか、31ページの図51(業務部門別の導入状況)の【導入率】の列にも、同じ4つのn(331・325・333・321)とともに印字されています。
導入効果 83.2%
図23(問9 AI・ITの導入効果)は AI n=327 / IT n=900。ポイント版2ページの図表7(AI・ITの導入効果)の凡例にも「AI(n=327)」「IT(n=900)」と印字されています。人手不足対応33.9%、品質向上30.6%、付加価値創出22.3%、エラー・ミスの軽減21.4%、売上拡大・顧客獲得17.4%、コスト削減13.1%、その他3.1%が同じ分母です。

出典:全体版8・10・11・13ページ、ポイント版(3)節。ポイント版PDF

調査票のどこを見れば、その設問の対象者が分かるか

全体版の54ページ以降に調査票が収録されており、設問の直前に対象者の指定が置かれています。設問文と選択肢もそのまま読めます。

目次では「Ⅵ 調査票 …… 54」とされ、調査票の1ページ目(印字ページ番号54)に「中小企業のIT・AI等の利活用に係る実態調査」の表題、回答者の会社名・役職・Emailの記入欄、企業属性の問1・問2が置かれています。以降、対象者を絞る設問には、問番号の直前に条件が1行で書かれています。次に書き写したのは、この対象者の行が置かれている設問だけです(問11の「すべての方に伺います。」もこの行にあたるため含めています)。上の表で〈記載なし〉とした問3②・問13・問17は、この行そのものが調査票に見当たらないため、書き写す対象がありません。転記から落としたのではなく、行が無いという意味です。

問4の直前
「問3①ITツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」
問5(2)の直前
「問3②AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」
問5(2-1)の冒頭
「問5(2)で『4.コスト削減』と回答した方」
問6(2)の直前
「問3②AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」
問7(2)の直前
「問3②AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」
問8(2)の直前
「問3②AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』、『3.導入を予定・検討中』と回答した方」
問9(2)の直前
「問3②AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」
問10の直前
「問6で『A.既に導入している』と回答した業務分野について伺います。」に加え、「問6(2)AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した業務分野のみ回答」「問9(2)AI等ツール・サービスで回答した効果のみ回答」の2行
問11の直前
「4.阻害要因」の見出しの下に「すべての方に伺います。」
問19の直前
「問3①ITツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」

分岐の起点になる問3は、「2.導入状況」の中で、IT・AI等の範囲を説明する枠のあとに置かれています。設問文は「貴社におけるIT・AI等の導入状況について、最も近いものをお選びください。【○はそれぞれ1つ】」で、行が①ITツール・サービスと②AI等ツール・サービスの2つ、列が「A.既に導入している」の下に「一部の業務で導入している」「全社的に導入している」、「B.まだ導入していない」の下に「導入を予定・検討中」「導入予定はない」の4つです。調査票55ページを確認した範囲では、問3に対象者を限定する記載はありません。

設問ごとにnが違うのはなぜか

報告書に「各設問の『無回答』は集計母数から除外して、割合を算出している」と書かれているためです。同じ「AI導入済みの方のみ」でも、n は 321・322・325・327・331・333 と一致しません。

2ページ「6.報告書の読み方」には、5項目が並んでいます。分母に関わるのは次の4つです。

(1)
「図表中の『n』は回答者総数(または該当者質問での該当者数)のことで、100%が何人の回答に相当するかを示す比率算出の基数を表す。」
(2)
「数値(%)は小数第2位を四捨五入しているため、総数と内訳の計が一致しない場合がある。」
(3)
「複数回答の場合、回答者総数に対する割合を表示しているため、構成比の合計が 100%を超える場合がある。」
(4)
「各設問の『無回答』は集計母数から除外して、割合を算出している。」

導入目的(問5(2))・業務分野別(問6(2))・導入済みサービス(問7(2))・導入効果(問9(2))は、調査票の対象者指定がいずれも同じ文言です。それでもnが 321 から 333 まで分かれるのは、この(4)の扱いによります。同じ「AI導入済み企業」を指す割合どうしでも、100%にあたる社数は設問ごとに違います。

なお、導入目的・導入効果・阻害要因・導入済みサービスは複数回答の設問です。(3)の記載どおり、各図の値を足し上げると100%を超えます。

n=49の設問は、何を聞いているか

問5(2-1)、AIの導入目的で「コスト削減」を選んだ企業に、目標とするコスト削減幅を聞いた設問です。図16に (n=49) と印字されています。

9ページの図16(問5(2-1)【AI】コスト削減目標)は単一回答で、「特に目標は決めていない」59.2%、「1~3割」20.4%、「4~6割」14.2%、「7~10割」6.1%です。IT側の図17は (n=199) で、「特に目標は決めていない」54.3%、「1~3割」30.2%、「4~6割」12.0%、「7~10割」3.5%です。

この図16にも 20.4% という数字が出てくる。図13のAI導入率20.4%(n=1,647)とは別の設問・別の分母(n=49)の数字で、意味は「コスト削減目標が1~3割」である。

49という分母は、二段階の分岐を通ったあとの数です。問3②でAIを「A.既に導入している」と答え、さらに問5(2)の複数回答で「4.コスト削減」を選んだ企業だけが、問5(2-1)に進みます。ポイント版の図表6では、問5(2)の全体331件のうちコスト削減を選んだのは49件、割合14.8%と示されています。

業種別の導入率は、どの分母で出ているか

業種ごとに別々の分母です。28ページの図45には業種別のnが印字されており、31から257まで分かれます。2ページの表1にある業種別の有効回収数とも一致しません。

下の表の「業種」の列は、表1に印字された名称で並べています。

業種表1の有効回収数図45のnAIの導入率
建設業24924615.9%
製造業19719616.4%
情報通信業333354.6%
運輸業31319.7%
卸売業12411916.8%
小売業25925719.4%
不動産業、物品賃貸業15915918.3%
学術研究、専門・技術サービス業13513336.9%
宿泊業、飲食サービス業17016718.0%
生活関連サービス業、娯楽業17617218.7%
教育、学習支援業616031.6%
その他747420.3%
1,6681,64720.4%(全体)

表1と図45の業種名を12業種すべて突き合わせると、11業種は同じ表記です。表記が違うのは運輸業の行で、2ページの表1は「運輸業」、28ページの図45は「運輸業、郵便業」と印字されています。なお、1ページの抽出方法には、対象外として「H.運輸業・郵便業のうち、49.郵便業」と記載されています。

図45に並ぶ12業種のnを足すと1,647になり、図13のAI側のnと同じ数になります。表1の有効回収数の合計1,668との差21件は、上の表のとおり業種ごとに分かれています。業種別の導入率の分母は、上の表のとおり31から257まで分かれ、2桁の業種もあります。

全回答者に聞いている設問はどれか

調査票に全員向けと明記されているのは問11(阻害要因)です。「4.阻害要因」の見出しの下に「すべての方に伺います。」と書かれています。図30のnは AI 1,636 / IT 1,663 です。問13・問17は、調査票を確認した範囲で対象者を限定する記載が見当たらないだけで、全員向けと明記された設問ではありません。

19ページの図30(問11(1)(2) AI・ITの導入における阻害要因)は複数回答です。AI側に並ぶ14項目は、上から「導入にあたっての高コスト」46.9%、「社内のIT/AI等ノウハウ不足」42.0%、「社内のIT/AI等人材不足」38.8%、「導入の必要性や効果が不透明」24.1%、「適切なサービスが見つからない」19.1%、「現状で満足しており、導入の必要性を感じない/認められない」18.1%、「セキュリティ・情報漏洩の懸念」17.5%、「成功事例・活用事例の不足」12.7%、「製品情報の不足」12.5%、「従業員の抵抗感」11.9%、「社内の検討・承認に時間がかかる」9.4%、「ベンダーとの調整に時間がかかる」3.8%、「その他」1.0%、「特になし」11.7%です。凡例は「AI(n=1,636)」「IT(n=1,663)」で、14項目は同じnを分母にしています。同じ14項目の件数は、37ページの表8(AI導入状況別の阻害要因)の全体行(n=1,636)にも印字されており、「導入にあたっての高コスト」は767件です。この46.9%の分母1,636には、AIを導入していない企業の回答も含まれます。

報告書の後半には、調査票に対象者の指定を確認できない設問もあります。22ページの図33(問13 導入を推進する担当部署の存在)は n=1,605 で、「特定の部署はなく、経営者・現場が個別に推進している」88.0%、「専任ではないが、推進するための部署が存在する」9.7%、「専任担当部署が存在する」2.3%です。23ページの図37(問17 導入を推進するために必要な公的支援)は項目ごとにnが分かれ、導入費用の助成(補助金・助成金等)が n=1,628 で「必要である」77.9%、導入事例や活用事例などの情報提供が n=1,594 で70.5%、従業員向けの教育・研修が n=1,596 で67.7%、実証実験や試行導入の機会が n=1,578 で61.3%、専門家の派遣や導入相談が n=1,591 で59.8%です。この2問は、調査票の設問文がいずれも「IT・AI 等」で始まり(問13「貴社には IT・AI 等の導入や活用を推進する担当部署はありますか。」、問17「IT・AI 等の導入を進めるにあたっての公的な支援について伺います。」)、図33・図37もAIとITを分けずに1本で示されています。上の表に入れた88.0%と77.9%は、AIだけを取り出した割合ではありません。調査票63ページの問13と、65ページの問17を確認した範囲では、対象者を限定する記載も、問11の前に置かれた「すべての方に伺います。」にあたる記載も見当たりません。「限定の記載が見当たらない」ことは、「全回答者に聞いたと明記されている」こととは別です。

この調査は誰にどう聞いたものか

郵送で配付しWebで回収した調査です。調査期間は令和7年11月17日から12月12日、調査対象は10,000社、有効回収数1,668、有効回収率16.7%です。

調査方法
全体版1ページの記載は「Web調査(郵送配付、Web回収)」。実施機関は「業務委託先 株式会社東京商工リサーチ」です。
調査期間
「令和7年11月17日(月)~12月12日(金)」。この期間より後の状況は、この調査からは読み取れません。
抽出方法
原文は「『中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)』の中小企業数及び小規模事業者数の割合を基に(株)東京商工リサーチ企業情報データから無作為抽出。」
対象外の業種
「日本標準産業分類において下記を除く全業種を対象とした。」として、A.農業・林業、B.漁業、F.電気・ガス・熱供給・水道業、H.運輸業・郵便業のうち49.郵便業、J.金融業・保険業、P.医療・福祉、Q.複合サービス事業、R.サービス業(他に分類されない)のうち93.政治・経済・文化団体〜96.外国公務、S.公務(他に分類されるものを除く)、T.分類不能の産業が挙げられています。
対象企業の範囲
ポイント版の調査概要には「調査対象:全国の中小企業 10,000社(中小企業基本法における中小・小規模企業の定義に基づく)」と記載されています。
回答者
調査票の冒頭に「■回答者様について」として会社名・役職・Emailの欄があり、役職は「1.代表者・経営者 2.管理職 3.一般社員/その他」から1つを選ぶ形式です。
AIの範囲
全体版1ページの記載は「AI の範囲:AI 技術を用いたサービス(例:画像認識 AI、音声認識 AI、需要予測 AI、生成 AI など)」。調査票(55ページ)の記載は「AI 等の範囲:AI 技術を用いたサービスが対象。」で、例示の4つは同じですが、見出し語が「AI の範囲」と「AI 等の範囲」で異なり、末尾に「が対象。」が付いています。

調査をまたいで生成AIの利用率が食い違って見える場合の見方は、別記事の生成AI活用率34.5%と86.4%に分かれる理由で、2つの調査の設計を並べて扱っています。

取得できなかったものは何か

2つのPDFと一覧ページは取得できました。次の項目は、取得した範囲では確認できていません。

**推測でnを埋めた箇所はありません。**表の「n」列に入れた数はすべて、報告書の図に印字されている数です。

この調査の数字で何を言えて、何を言えないか

言えるのは、どの数字がどの設問の、どのnを100%とした割合かまでです。分母の違う数字どうしを掛けたり並べたりすることはできません。

言えること

20.4%の分母
問3②に答えた 1,647 を100%とした割合です。有効回収数1,668を分母にした割合でも、配布した10,000社を分母にした割合でもありません。
300台の分母
生成AI 82.6%(n=322)、導入目的87.0%(n=331)、業務分野別の経営・企画58.5%(n=333)・製造・生産34.9%(n=321)・営業・販売60.3%(n=325)・総務・管理68.3%(n=331)、導入効果83.2%(n=327)は、いずれも調査票で「問3②AI等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」に限定された設問の値です。回答企業全体を100%とした割合ではありません。
対象者が決まる行と決まらない行
表の16行のうち、調査票に対象者の行があるのは9行(問5(2)、問5(2-1)、問6(2)の4部門、問7(2)、問9(2)、問11)です。この9行は、100%が誰かを調査票の記載から決められます。残る7行(問3②、問13、問17①〜⑤)は対象者の行が見当たらないため、調査票からは決められません。なお、16行すべてのnは図の印字から採った数で、調査票から導いた数ではありません。
nが揃わない理由
「各設問の『無回答』は集計母数から除外して、割合を算出している」と報告書に書かれています。そのため、同じ対象者に向けた設問でもnは一致しません。
合計は100%を超える
導入目的・導入効果・阻害要因・導入済みサービスは複数回答です。報告書の注記どおり、構成比の合計は100%を超えます。
業種別の分母
業種別の導入率は業種ごとに分母が異なります。図45に印字された12業種のnは31から257まで分かれ、2桁の業種もあります。全体の1,647を分母にした値ではありません。
阻害要因の分母
問11は調査票に「すべての方に伺います。」と書かれています。46.9%(n=1,636)には、AIを導入していない企業の回答も含まれます。
同じ20.4%が2つある
図13のAI導入率20.4%(n=1,647)と、図16のコスト削減目標「1~3割」20.4%(n=49)は別の設問の数字です。引用するときは、どちらの設問の値かを書き分けられます。

言えないこと

掛け合わせ
20.4%と82.6%を掛けて、中小企業のうち何%が生成AIを使っているかを出すこと。分母が1,647と322で異なり、無回答を除外した集計であるためです。
社内の利用実態
問3は導入状況を4択で聞く設問です。設問文と選択肢を読む限り、社内の何人が、どの頻度で使っているかは測っていません。
回答しなかった企業
配布10,000社に対する有効回収率は16.7%です。回答しなかった企業の導入状況は、この調査からは読み取れません。
調査期間より後
調査期間は令和7年11月17日〜12月12日です。それ以降の導入状況は、この調査からは読み取れません。
抽出対象外の業種
農業・林業、漁業、電気・ガス・熱供給・水道業、郵便業、金融業・保険業、医療・福祉などは抽出の対象外と記載されています。これらの業種は、この調査の数字に含まれていません。
導入企業の社数
20.4%に対応する社数。報告書に社数の記載を確認できていないため、1,647に20.4%を掛けた値を「AIを導入している企業の数」として扱うことはできません。
問13・問17の対象者
この2問が全回答者に聞かれたかどうか。調査票63ページ・65ページに対象者を限定する記載は見当たりませんが、問11のような全員向けの明記もないため、確定できません。
問13・問17のAI単独の値
88.0%(n=1,605)と77.9%(n=1,628)のうち、AIについての回答がどれだけかは分けられません。設問文が「IT・AI 等」で、図33・図37もAIとITを分けずに1本で示されているためです。
部門間の差
図18の経営・企画58.5%(n=333)と総務・管理68.3%(n=331)の差が何によるものか。設問は部門ごとに導入状況を選ぶ形式で、差の要因は測っていません。

この記事は何を出典にしているか

  1. 中小企業基盤整備機構|中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(全体版・令和8年3月)
  2. 中小企業基盤整備機構|中小企業のAI等利活用に係る実態調査(2026年3月)ポイント版
  3. 中小企業基盤整備機構|アンケート調査
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