中小企業AI調査でAIとITの設問11組を対照
独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」の調査票で、(1)(2)の番号でIT側とAI 等側に分け、それぞれに別の回答欄を置いた設問(枝番の(1-1)(2-1)は親設問の(1)(2)に対応する1組として数える)は11組あり、うち8組は選択肢が逐語一致、1組(問11)は14項目のうち2項目で語が入れ替わり、2組(問7・問8)は選択肢そのものが別建てです。対象者の指定も設問ごとに異なり、導入効果を聞いた問9は、AI側が問3②で【既に導入している】と答えた企業(n=327)、IT側が問3①で【既に導入している】と答えた企業(n=900)を対象としています。
- 最終確認
- 2026-08-20
- 対象
- 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(令和8年3月)全体版70ページ・ポイント版2ページ。調査期間は令和7年11月17日〜12月12日、有効回答1,668社
- 確認範囲
- 公表2点のPDFに印字された設問文・選択肢・対象者指定・図表のラベルと数値。他の調査との数値比較は行っていない
- 更新周期
- 更新なし
この調査の調査設計は全体版1ページに印字されています。「(1)調査方法:Web 調査(郵送配付、Web 回収)」「(2)調査期間:令和7年 11 月 17 日(月)~12 月 12 日(金)」「(3)調査対象社数:10,000 社」で、抽出方法は「中小企業・小規模事業者の数(2021 年6月時点)」の中小企業数及び小規模事業者数の割合を基に東京商工リサーチ企業情報データから無作為抽出したと印字されています。有効回答数は全体版2ページの表1に印字され、配布数10,000・有効回収数1,668・有効回収率16.7%です(全体版PDF)。
AIとITは、同じ選択肢で聞かれているのか
設問によって異なります。(1)(2)の番号でIT側とAI 等側に分け、それぞれに別の回答欄を置いた11組のうち、問5・問5(1-1)(2-1)・問6・問9・問9(1-1)(2-1)・問10・問11(1-1)(2-1)・問12の8組は選択肢が逐語で一致し、問11は14項目のうち2項目で語が入れ替わり、問7・問8は選択肢そのものが別です。
11組として数えているのは、設問の中で(1)(2)の番号がIT側とAI 等側に振られ、それぞれに別の回答欄が置かれている設問です。枝番の設問((1-1)(2-1))は、親設問の(1)(2)に対応する1組として数えています。この基準に当てはまる設問と、それぞれの対象者指定を、調査票(全体版の巻末に収録、印字54〜65ページ)から並べます。印字54ページに「Ⅵ 調査票」の見出しと表題「中小企業のIT・AI等の利活用に係る実態調査」、「ご回答にあたって」、問1・問2が置かれ、問3以降は印字55ページから始まります。表には、この11組に加え、回答欄が分かれない問16も並べています。
問3と問16をこの11組に含めていないのは、回答欄がこの基準に当てはまらないからです。問3の回答欄は、①IT ツール・サービスと②AI 等ツール・サービスを行とする1つの表で、(1)(2)に分かれた別建ての回答欄ではありません(調査票55ページ)。問16の回答欄も、①〜④の4項目を行とする1つの表で、ITとAI 等に分かれません(調査票64ページ)。
| 設問(調査票のページ) | 設問文(逐語) | AI側とIT側の選択肢 | AI側の対象者(逐語) | IT側の対象者(逐語) | n(AI/IT) |
|---|---|---|---|---|---|
| 問5(55〜56) | 導入した目的を選択してください。 | 8項目が逐語一致 | 問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 331/920(図15・8ページ) |
| 問5(1-1)(2-1)(56) | AI 等の導入前に比べてどの程度のコスト削減を目指していますか。(IT側は「AI 等の」が「IT の」) | 1割〜10割の10区分+「特に目標は決めていない」で逐語一致 | 問5(2)で「4.コスト削減」と回答した方 | 問5(1)で「4.コスト削減」と回答した方 | 49/199(図16・図17・9ページ) |
| 問6(57) | 貴社における IT・AI 等の導入状況について、業務分野ごとにご回答ください。 | 4業務分野×5区分(「一定の成果を上げている」「一定の成果を上げ、さらなる拡張を検討中」「導入を予定・検討中」「導入予定はない」「対象外(対象部門なし)」)で逐語一致 | 問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 業務分野ごとに333/900・321/892・325/905・331/916(図18・10ページ) |
| 問7(57〜58) | 導入しているサービスを選択してください。 | AI側6区分/IT側9区分で別 | 問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 322/915(図19・図20・11ページ) |
| 問8(58) | 今後、導入を検討しているサービスを選択してください。 | AI側6区分/IT側9区分で別 | 問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」、「3.導入を予定・検討中」と回答した方 | 問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」、「3.導入を予定・検討中」と回答した方 | 468/737(図21・図22・12ページ) |
| 問9(59) | 導入効果を選択してください。 | 8項目が逐語一致 | 問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方 | 327/900(図23・13ページ) |
| 問9(1-1)(2-1)(59) | AI 等を導入前に比べてどの程度のコスト削減ができましたか。(IT側は「AI 等を」が「IT を」) | 1割〜10割の10区分で逐語一致(「特に目標は決めていない」の印字なし) | 問9(2)で「4.コスト削減」と回答した方 | 問9(1)で「4.コスト削減」と回答した方 | 39/151(図24・図25・14ページ) |
| 問10(60〜61) | 導入効果について、業務分野ごとにご回答ください。 | 効果の種類7項目×効果の程度3区分(「効果があった」「どちらともいえない」「効果はなかった」)で逐語一致 | 問6(2)AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した業務分野のみ回答/問9(2)AI 等ツール・サービスで回答した効果のみ回答 | 問6(1)IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した業務分野のみ回答/問9(1)IT ツール・サービスで回答した効果のみ回答 | 業務分野×効果の種類ごとに印字(図26〜図29・15〜18ページ)。図26の①経営・企画部門「業務効率化/作業時間の短縮」は155/390 |
| 問11(62) | IT・AI 等の導入において、感じている課題をそれぞれご回答ください。 | 14項目のうち3・4で語が入れ替わる | 節見出し「4.阻害要因」の直後に「すべての方に伺います。」。設問ごとの対象者指定は印字なし | 同左 | 1,636/1,663(図30・19ページ) |
| 問11(1-1)(2-1)(62) | AI 等ツール・サービスを導入しても効率化できていない、または効率化が難しいと感じる業務を選択してください。(IT側は「AI 等」が「IT」) | 5項目が逐語一致 | 対象者指定の印字なし | 対象者指定の印字なし | 1,539/1,552(図31・20ページ) |
| 問12(63) | IT・AI 等の導入後の運用課題をそれぞれご回答ください。 | 11項目が逐語一致 | 対象者指定の印字なし(「すべての方に伺います。」の節内) | 同左 | 1,587/1,630(図32・21ページ) |
| 問16(64) | IT・AI 等の導入にかかる社内の理解や情報量について伺います。以下の項目について、どの程度当てはまりますか。 | 回答欄がITとAI 等に分かれない | ― | ― | 項目別に1,638/1,632/1,631/1,635(図36・23ページ) |
問11で語が入れ替わるのは選択肢3・4です。IT側は「3.社内の IT 人材不足」「4.社内の IT ノウハウ不足」、AI側は「3.社内の AI 等人材不足」「4.社内の AI 等ノウハウ不足」と印字されています(調査票62ページ)。残る12項目は逐語一致です。
問7・問8は、AI側が「画像認識 AI(外観検査、不良品検出)」「生成 AI(文章・資料作成、アイデア出し)」など6区分、IT側が「RPA(定型業務自動化)」「BI ツール(Tableau、Power BI 等)」など9区分で、選択肢の文言が共通していません。回答欄の見出しも、設問によって印字が分かれます。(1)は問5・問6・問7・問8・問9・問10・問11・問12のいずれも「IT ツール・サービス」ですが、(2)は問5・問6・問8・問9・問10・問11・問12が「AI 等ツール・サービス」、問7が「AI 等の技術を活用したサービス」と印字されています(調査票55〜63ページ)。この2組の結果は、AI側とIT側が別々の図として掲載されています。問7は図19(問7(2) AI の導入済みサービス、n=322)と図20(問7(1) IT の導入済みサービス、n=915)が全体版11ページに、問8は図21(問8(2) AI の導入検討中のサービス、n=468)と図22(問8(1) IT の導入検討中のサービス、n=737)が全体版12ページに置かれています。AI側とIT側の範囲がどう定義されているかは、別記事の中小企業AI調査のAIの範囲を3か所で逐語対照で扱っています。
問6と問10は、4つの業務分野(①経営・企画部門/②製造・生産部門/③営業・販売・サービス・アフターサービス部門/④総務・管理部門)ごとに答える形式です。問6の図18(全体版10ページ)のnは、AI側が業務分野の順に333・321・325・331、IT側が900・892・905・916と印字されています。問10は図26〜図29(全体版15〜18ページ)が業務分野ごとに1枚ずつ置かれ、nは効果の種類7項目それぞれについてAI側とIT側に分けて印字されています。
出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」全体版(令和8年3月)1・2・8・9・10・11・12・13・14・15〜18・19・20・21・23ページおよび調査票54〜65ページ。全体版PDF
同じ選択肢の設問で、答えているのは同じ企業か
設問の群によって分かれます。問11・問12は両側とも全回答者が対象と印字され、問5・問6・問7・問8・問9・問10は、AI側とIT側で対象者の指定が別々に印字されています。
調査票62ページの「4.阻害要因」の見出しの直後には「すべての方に伺います。」と印字され、この節に置かれた問11・問12には設問ごとの対象者指定がありません。一方、問5・問6・問7・問9では、設問文の後、IT側と AI 等側それぞれの回答欄の見出しの直前に、「問3①IT ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」「問3②AI 等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」という指定が印字されています(調査票55〜59ページ)。設問の直前に対象者の指定が置かれている例は、問4です(調査票55ページ)。問8の指定はこれに「、「3.導入を予定・検討中」」が加わった形です。問10は、その前に「問6で『A.既に導入している』と回答した業務分野について伺います。」と印字され、AI側は「問6(2)AI 等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した業務分野のみ回答」「問9(2)AI 等ツール・サービスで回答した効果のみ回答」の2行が対象者として印字されています(調査票60〜61ページ)。
問11・問12の両側でnが一致しないのは、報告書2ページの「6.報告書の読み方」(4)に「各設問の『無回答』は集計母数から除外して、割合を算出している。」と印字されているためです。同(1)は「図表中の『n』は回答者総数(または該当者質問での該当者数)のことで、100%が何人の回答に相当するかを示す比率算出の基数を表す。」と定義しています。設問ごとの分母の一覧は、別記事の中小企業AI調査16個の数字の分母を調査票で確認で扱っています。
付加価値創出のAI 22.3%とIT 7.4%は、同じ企業に聞いた数字か
対象者の指定が異なる2つの設問の結果です。22.3%は問9(2)(AI側、n=327)、7.4%は問9(1)(IT側、n=900)で、対象を指定している問3の行が①と②で分かれています。
問9の「付加価値創出」の2つの値です。設問は問9(2)と問9(1)に分かれ、分母も別です。
問9の対象者を指定している問3の値です。上の2つとは設問も分母も別で、上の2つの内訳ではありません。
問3の設問文は、調査票55ページに次のように印字されています。
問3 貴社における IT・AI 等の導入状況について、最も近いものをお選びください。【○はそれぞれ 1 つ】(調査票55ページ)
回答欄は①IT ツール・サービスと②AI 等ツール・サービスの2行です。図13(問3 AI・IT の導入状況、全体版7ページ)では、AIの行が n=1,647、ITの行が n=1,663 で、全体版7ページの本文は【既に導入している】を「「一部の業務で導入している」と「全社的に導入している」の合計」と定義したうえで、AI 20.4%、IT 55.5%と記載しています。問9のAI側とIT側は、この②と①のそれぞれで【既に導入している】を選んだ企業を対象としています。
AIとITの両方を【既に導入している】と回答した企業が何社かについての記載は、全体版70ページとポイント版2ページを検索した範囲では見当たりません。両側の設問に同じ企業がどう答えたかを取り出した集計も、同じ範囲では見当たりません。
この2つの数値について、ポイント版と全体版はそれぞれ次のように記述しています。
一方でITの導入効果と比較すると「付加価値創出」の効果はAI(22.3%)がIT(7.4%)を約15ポイント上回る結果となっており、「付加価値創出」においては、AIが従来のIT活用より高い評価を得る結果となっている。(ポイント版2ページ、図表7 AI・ITの導入効果の解説文)
導入効果のうち「付加価値創出」について IT の効果と比較すると、AI(22.3%)が IT(7.4%)を上回っており、「付加価値創出」においては、AI が従来の IT 活用より高い評価を得る結果となった(図 23)。(全体版49ページ、「Ⅴ 総括」1.仮説検証(1))
「約15ポイント」の語は、ポイント版2ページに印字されています。全体版49ページの文には、この語は印字されていません。
出典:ポイント版2ページ、全体版49ページ。ポイント版PDF/全体版PDF
導入目的と導入効果は、同じ選択肢で聞かれているのか
選択肢は8項目とも逐語一致で、番号の並びも同じです。異なるのは設問文で、問5が「導入した目的を選択してください。」、問9が「導入効果を選択してください。」です。
問5・問9の選択肢は、どちらも「1.業務効率化/作業時間の短縮」「2.人手不足対応」「3.品質向上」「4.コスト削減」「5.エラー・ミスの軽減」「6.売上拡大・顧客獲得」「7.付加価値創出」「8.その他( )」で、いずれも【複数回答可】です(調査票55〜56ページ、59ページ)。
図15(問5、全体版8ページ)と図23(問9、全体版13ページ)に印字された値を、項目ごとに並べます。対象者はいずれも問3②または問3①で【既に導入している】と回答した企業です。
| 項目(調査票の選択肢名) | 問5(2) AI(n=331) | 問5(1) IT(n=920) | 問9(2) AI(n=327) | 問9(1) IT(n=900) |
|---|---|---|---|---|
| 業務効率化/作業時間の短縮 | 87.0% | 92.6% | 83.2% | 89.1% |
| 人手不足対応 | 31.7% | 30.5% | 33.9% | 32.3% |
| 品質向上 | 32.3% | 25.5% | 30.6% | 24.6% |
| コスト削減 | 14.8% | 22.0% | 13.1% | 17.8% |
| エラー・ミスの軽減 | 24.2% | 41.5% | 21.4% | 39.8% |
| 売上拡大・顧客獲得 | 22.1% | 14.2% | 17.4% | 11.6% |
| 付加価値創出 | 24.5% | 10.1% | 22.3% | 7.4% |
| その他 | 2.7% | 2.5% | 3.1% | 1.9% |
報告書は、この2つの図についてそれぞれ次のように記述しています。いずれも報告書側の記述です。
両者の差が最も高い項目は「エラー・ミスの軽減」となり、AI は IT を 17.3 ポイント下回る結果となった。(全体版8ページ、図15の解説)
両者の差が最も高い項目は「エラー・ミスの軽減」となり、AI は 18.4 ポイント下回る結果となった。(全体版13ページ、図23の解説)
問9は効果に当たる項目を選択肢から選ぶ複数回答で、効果の大きさ・金額・期間を尋ねる欄は、調査票59ページの問9(1)(2)には印字されていません。
コスト削減の目標と効果は、同じ聞き方か
同じではありません。目標を聞く問5(1-1)(2-1)には「特に目標は決めていない」のチェック欄が印字され、効果を聞く問9(1-1)(2-1)の該当欄にはその印字が見当たりません。
4つの設問を並べます。調査票の選択肢はいずれも「1割 2割 3割 4割 5割 6割 7割 8割 9割 10 割」の10区分で【○は1つ】です。報告書の図は、この10区分を「1〜3割」「4〜6割」「7〜10割」に括った形で示しています。
| 項目 | 問5(2-1)【AI】目標 | 問5(1-1)【IT】目標 | 問9(2-1)【AI】効果 | 問9(1-1)【IT】効果 |
|---|---|---|---|---|
| 設問文(逐語) | AI 等の導入前に比べてどの程度のコスト削減を目指していますか。 | IT の導入前に比べてどの程度のコスト削減を目指していますか。 | AI 等を導入前に比べてどの程度のコスト削減ができましたか。 | IT を導入前に比べてどの程度のコスト削減ができましたか。 |
| 対象者(逐語) | 問5(2)で「4.コスト削減」と回答した方 | 問5(1)で「4.コスト削減」と回答した方 | 問9(2)で「4.コスト削減」と回答した方 | 問9(1)で「4.コスト削減」と回答した方 |
| 「特に目標は決めていない」 | 印字あり | 印字あり | 該当欄に印字が見当たらない | 該当欄に印字が見当たらない |
| 図の区分数 | 4区分(図16) | 4区分(図17) | 3区分(図24) | 3区分(図25) |
| n | 49 | 199 | 39 | 151 |
| 1〜3割 | 20.4% | 30.2% | 64.1% | 72.8% |
| 4〜6割 | 14.2% | 12.0% | 25.6% | 21.2% |
| 7〜10割 | 6.1% | 3.5% | 10.3% | 6.0% |
| 特に目標は決めていない | 59.2% | 54.3% | 区分なし | 区分なし |
図16・図17は全体版9ページ、図24・図25は全体版14ページに掲載されています。目標側の4区分には「特に目標は決めていない」が含まれ、効果側の3区分には含まれません。100%としている数(n)も、目標側が49・199、効果側が39・151で、それぞれ別の設問の該当者数です。
事例情報が足りないという83.3%は、AIについての数字か
この設問はITとAI 等を分けていません。問16の設問文は「IT・AI 等の導入にかかる社内の理解や情報量について伺います。」で、回答欄がITとAI 等に分かれていません(調査票64ページ)。
問16は4項目それぞれについて「とても当てはまる/やや当てはまる/あまり当てはまらない/全く当てはまらない」の4択で答える形式で、【○はそれぞれ 1 つ】と印字されています。項目④は「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」です。
図36(問16 社内の理解度や情報量、全体版23ページ)の該当行は n=1,635 で、「あまり当てはまらない」49.0%と「全く当てはまらない」34.3%が印字されています。報告書はこの2つの合計を【当てはまらない】として83.3%と記載しています。
一方、事例の不足をITとAI 等に分けて聞いているのは問11の選択肢8「成功事例・活用事例の不足」です。図30(全体版19ページ)の該当項目は、AI側が12.7%(n=1,636)、IT側が9.2%(n=1,663)と印字されています。
問16の項目②は「従業員の IT リテラシー※が高い」で、注は2行あり、「※IT リテラシーとは、IT(情報技術)を正しく理解し、目的に応じて使いこなす力のことを指します。」「例:パソコンやクラウドサービス、IT ツールなどを業務に活用する力 等。」と印字されています(調査票64ページ)。項目名にも注の2行にもAIの語は含まれていません。
ポイント版2ページで83.3%を紹介している囲みの見出しは「(5)AIをめぐる情報不足を背景に、活用事例などの情報提供が費用助成とともに高いニーズ」です。設問文は「IT・AI 等」、囲みの見出しは「AI」と印字されています。
阻害要因と運用課題は、誰を分母に、どの順で印字されているか
分母は、問11・問12とも「すべての方に伺います。」の節に置かれた全回答者で、無回答が集計母数から除外されるため両側のnは一致しません。並び順は、図30・図32とも「その他」「特になし」を末尾に置き、それ以外の項目をAI側の値の降順に印字しています。
図30・図32の最上段に印字されているのは、図30が「導入にあたっての高コスト」(AI 46.9%・IT 52.4%)、図32が「ランニングコストが高い」(AI 44.0%・IT 47.7%)です。以下、図30(問11(1)(2) AI・IT の導入における阻害要因、全体版19ページ)の全項目を、図に印字された順に並べます。対象者は「すべての方に伺います。」(調査票62ページ)。項目名は図30に印字されたラベルです。
| 項目(図30のラベル) | 問11(2) AI(n=1,636) | 問11(1) IT(n=1,663) |
|---|---|---|
| 導入にあたっての高コスト | 46.9% | 52.4% |
| 社内のIT/AI等ノウハウ不足 | 42.0% | 41.6% |
| 社内のIT/AI等人材不足 | 38.8% | 38.2% |
| 導入の必要性や効果が不透明 | 24.1% | 24.2% |
| 適切なサービスが見つからない | 19.1% | 16.7% |
| 現状で満足しており、導入の必要性を感じない/認められない | 18.1% | 19.1% |
| セキュリティ・情報漏洩の懸念 | 17.5% | 21.5% |
| 成功事例・活用事例の不足 | 12.7% | 9.2% |
| 製品情報の不足 | 12.5% | 9.2% |
| 従業員の抵抗感 | 11.9% | 15.3% |
| 社内の検討・承認に時間がかかる | 9.4% | 11.0% |
| ベンダーとの調整に時間がかかる | 3.8% | 6.3% |
| その他 | 1.0% | 1.4% |
| 特になし | 11.7% | 10.0% |
図32(問12(1)(2) 導入後の運用課題、全体版21ページ)の全項目です。対象者の指定は調査票63ページに印字されていません。
| 項目(図32のラベル) | 問12(2) AI(n=1,587) | 問12(1) IT(n=1,630) |
|---|---|---|
| ランニングコストが高い | 44.0% | 47.7% |
| 運用担当者の負荷が重い | 29.1% | 33.1% |
| 従業員による活用が進まない | 28.9% | 28.8% |
| 期待していた効果が得られない | 13.7% | 13.4% |
| セキュリティ対応の負担が大きい | 13.6% | 15.4% |
| 導入製品のアップデート対応への負担 | 13.0% | 16.6% |
| 導入製品の仕様変更対応への負担 | 11.7% | 15.4% |
| 監査負担が大きい | 5.2% | 4.6% |
| ベンダーのサポートが不十分 | 4.7% | 6.5% |
| その他 | 2.3% | 1.9% |
| 特になし | 29.9% | 24.5% |
図31(問11(1-1)(2-1) 効率化が難しいと感じる業務、全体版20ページ)は5項目で、AI側 n=1,539、IT側 n=1,552 です。「人の判断が必要な業務(営業提案、顧客折衝など)」がAI 67.1%・IT 68.4%、「社内調整・意思決定など属人的な業務」がAI 33.3%・IT 35.1%、「経営判断や戦略立案に関する業務」がAI 31.3%・IT 31.8%、「創造的な企画・開発業務(新製品企画、デザインなど)」がAI 18.9%・IT 20.1%、「その他」がAI 8.6%・IT 8.1%と印字されています。
出典:全体版19・20・21ページ、調査票62〜63ページ。全体版PDF
報告書の本文で使われている項目名は、調査票の選択肢名と一致しているか
一致しない箇所があります。同じ項目が、調査票・図のラベル・本文の3か所で別の文言で印字されています。
問11の選択肢3・4のAI側を3か所で並べます。
| 印字されている場所 | 文言 |
|---|---|
| 調査票62ページ(選択肢) | 3.社内の AI 等人材不足/4.社内の AI 等ノウハウ不足 |
| 図30のラベル(全体版19ページ) | 社内のIT/AI等人材不足/社内のIT/AI等ノウハウ不足 |
| 全体版19ページの本文 | 「社内の AI ノウハウ不足」(42.0%)/「社内の AI 人材不足」(38.8%) |
報告書2ページの「6.報告書の読み方」(5)には「調査結果のコメントにおいては、選択肢を便宜上、略記している引用がある。」と印字されています。どの項目がこれに当たるかを項目ごとに対応づけた記載は、全体版2ページと19ページを確認した範囲では見当たりません。
問9の選択肢7についても文言が分かれます。調査票59ページと図23のラベルは「付加価値創出」、全体版13ページの冒頭の囲みは「IT にと比較して特に「付加価値向上」では AI に優位性」、ポイント版2ページの囲みの見出しは「(4)AIの導入効果として「付加価値創出」はITよりも高評価」です。
取得できなかったものは何か
この調査に紐づいて公表されているPDF2点を取得し、そのうち次の項目は確認できていません。
- AIとITの両方を【既に導入している】と回答した企業の数、およびその企業だけを取り出した集計。全体版70ページとポイント版2ページを検索した範囲では、記載が見当たりません
- 問10の図26〜図29に印字された全56区分(4業務分野×効果の種類7項目×AI側・IT側)のうち、本記事に載せたのは図26の①経営・企画部門「業務効率化/作業時間の短縮」の2つだけです。残りは全体版15〜18ページに印字されていますが、本記事では取り出していません
- 図16・図17・図24・図25の3区分(1〜3割/4〜6割/7〜10割)が、調査票の1割〜10割の10区分からどのように括られたかについての説明。全体版2ページの「6.報告書の読み方」(5項目)と9ページ・14ページを確認した範囲では、記載が見当たりません
- 図30・図32のIT側とAI側で除外された無回答が、それぞれ何件かの内訳。全体版19ページ・21ページを確認した範囲では、nが印字されているだけで、内訳は見当たりません
これらの数字から何を言えて、何を言えないか
言えるのは、印字された設問文・対象者指定・nから読み取れる範囲までです。並んでいる2つの数字が同じ回答者集合から出ているかどうかは、設問の群によって分かれます。