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検証

中小企業AI調査でAIとITの設問11組を対照

独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」の調査票で、(1)(2)の番号でIT側とAI 等側に分け、それぞれに別の回答欄を置いた設問(枝番の(1-1)(2-1)は親設問の(1)(2)に対応する1組として数える)は11組あり、うち8組は選択肢が逐語一致、1組(問11)は14項目のうち2項目で語が入れ替わり、2組(問7・問8)は選択肢そのものが別建てです。対象者の指定も設問ごとに異なり、導入効果を聞いた問9は、AI側が問3②で【既に導入している】と答えた企業(n=327)、IT側が問3①で【既に導入している】と答えた企業(n=900)を対象としています。

最終確認
2026-08-20
対象
中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(令和8年3月)全体版70ページ・ポイント版2ページ。調査期間は令和7年11月17日〜12月12日、有効回答1,668社
確認範囲
公表2点のPDFに印字された設問文・選択肢・対象者指定・図表のラベルと数値。他の調査との数値比較は行っていない
更新周期
更新なし

この調査の調査設計は全体版1ページに印字されています。「(1)調査方法:Web 調査(郵送配付、Web 回収)」「(2)調査期間:令和7年 11 月 17 日(月)~12 月 12 日(金)」「(3)調査対象社数:10,000 社」で、抽出方法は「中小企業・小規模事業者の数(2021 年6月時点)」の中小企業数及び小規模事業者数の割合を基に東京商工リサーチ企業情報データから無作為抽出したと印字されています。有効回答数は全体版2ページの表1に印字され、配布数10,000・有効回収数1,668・有効回収率16.7%です(全体版PDF)。

AIとITは、同じ選択肢で聞かれているのか

設問によって異なります。(1)(2)の番号でIT側とAI 等側に分け、それぞれに別の回答欄を置いた11組のうち、問5・問5(1-1)(2-1)・問6・問9・問9(1-1)(2-1)・問10・問11(1-1)(2-1)・問12の8組は選択肢が逐語で一致し、問11は14項目のうち2項目で語が入れ替わり、問7・問8は選択肢そのものが別です。

11組として数えているのは、設問の中で(1)(2)の番号がIT側とAI 等側に振られ、それぞれに別の回答欄が置かれている設問です。枝番の設問((1-1)(2-1))は、親設問の(1)(2)に対応する1組として数えています。この基準に当てはまる設問と、それぞれの対象者指定を、調査票(全体版の巻末に収録、印字54〜65ページ)から並べます。印字54ページに「Ⅵ 調査票」の見出しと表題「中小企業のIT・AI等の利活用に係る実態調査」、「ご回答にあたって」、問1・問2が置かれ、問3以降は印字55ページから始まります。表には、この11組に加え、回答欄が分かれない問16も並べています。

問3と問16をこの11組に含めていないのは、回答欄がこの基準に当てはまらないからです。問3の回答欄は、①IT ツール・サービスと②AI 等ツール・サービスを行とする1つの表で、(1)(2)に分かれた別建ての回答欄ではありません(調査票55ページ)。問16の回答欄も、①〜④の4項目を行とする1つの表で、ITとAI 等に分かれません(調査票64ページ)。

設問(調査票のページ)設問文(逐語)AI側とIT側の選択肢AI側の対象者(逐語)IT側の対象者(逐語)n(AI/IT)
問5(55〜56)導入した目的を選択してください。8項目が逐語一致問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方331/920(図15・8ページ)
問5(1-1)(2-1)(56)AI 等の導入前に比べてどの程度のコスト削減を目指していますか。(IT側は「AI 等の」が「IT の」)1割〜10割の10区分+「特に目標は決めていない」で逐語一致問5(2)で「4.コスト削減」と回答した方問5(1)で「4.コスト削減」と回答した方49/199(図16・図17・9ページ)
問6(57)貴社における IT・AI 等の導入状況について、業務分野ごとにご回答ください。4業務分野×5区分(「一定の成果を上げている」「一定の成果を上げ、さらなる拡張を検討中」「導入を予定・検討中」「導入予定はない」「対象外(対象部門なし)」)で逐語一致問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方業務分野ごとに333/900・321/892・325/905・331/916(図18・10ページ)
問7(57〜58)導入しているサービスを選択してください。AI側6区分/IT側9区分で別問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方322/915(図19・図20・11ページ)
問8(58)今後、導入を検討しているサービスを選択してください。AI側6区分/IT側9区分で別問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」、「3.導入を予定・検討中」と回答した方問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」、「3.導入を予定・検討中」と回答した方468/737(図21・図22・12ページ)
問9(59)導入効果を選択してください。8項目が逐語一致問3②AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方問3①IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した方327/900(図23・13ページ)
問9(1-1)(2-1)(59)AI 等を導入前に比べてどの程度のコスト削減ができましたか。(IT側は「AI 等を」が「IT を」)1割〜10割の10区分で逐語一致(「特に目標は決めていない」の印字なし)問9(2)で「4.コスト削減」と回答した方問9(1)で「4.コスト削減」と回答した方39/151(図24・図25・14ページ)
問10(60〜61)導入効果について、業務分野ごとにご回答ください。効果の種類7項目×効果の程度3区分(「効果があった」「どちらともいえない」「効果はなかった」)で逐語一致問6(2)AI 等ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した業務分野のみ回答/問9(2)AI 等ツール・サービスで回答した効果のみ回答問6(1)IT ツール・サービスで「A.既に導入している」と回答した業務分野のみ回答/問9(1)IT ツール・サービスで回答した効果のみ回答業務分野×効果の種類ごとに印字(図26〜図29・15〜18ページ)。図26の①経営・企画部門「業務効率化/作業時間の短縮」は155/390
問11(62)IT・AI 等の導入において、感じている課題をそれぞれご回答ください。14項目のうち3・4で語が入れ替わる節見出し「4.阻害要因」の直後に「すべての方に伺います。」。設問ごとの対象者指定は印字なし同左1,636/1,663(図30・19ページ)
問11(1-1)(2-1)(62)AI 等ツール・サービスを導入しても効率化できていない、または効率化が難しいと感じる業務を選択してください。(IT側は「AI 等」が「IT」)5項目が逐語一致対象者指定の印字なし対象者指定の印字なし1,539/1,552(図31・20ページ)
問12(63)IT・AI 等の導入後の運用課題をそれぞれご回答ください。11項目が逐語一致対象者指定の印字なし(「すべての方に伺います。」の節内)同左1,587/1,630(図32・21ページ)
問16(64)IT・AI 等の導入にかかる社内の理解や情報量について伺います。以下の項目について、どの程度当てはまりますか。回答欄がITとAI 等に分かれない項目別に1,638/1,632/1,631/1,635(図36・23ページ)

問11で語が入れ替わるのは選択肢3・4です。IT側は「3.社内の IT 人材不足」「4.社内の IT ノウハウ不足」、AI側は「3.社内の AI 等人材不足」「4.社内の AI 等ノウハウ不足」と印字されています(調査票62ページ)。残る12項目は逐語一致です。

問7・問8は、AI側が「画像認識 AI(外観検査、不良品検出)」「生成 AI(文章・資料作成、アイデア出し)」など6区分、IT側が「RPA(定型業務自動化)」「BI ツール(Tableau、Power BI 等)」など9区分で、選択肢の文言が共通していません。回答欄の見出しも、設問によって印字が分かれます。(1)は問5・問6・問7・問8・問9・問10・問11・問12のいずれも「IT ツール・サービス」ですが、(2)は問5・問6・問8・問9・問10・問11・問12が「AI 等ツール・サービス」、問7が「AI 等の技術を活用したサービス」と印字されています(調査票55〜63ページ)。この2組の結果は、AI側とIT側が別々の図として掲載されています。問7は図19(問7(2) AI の導入済みサービス、n=322)と図20(問7(1) IT の導入済みサービス、n=915)が全体版11ページに、問8は図21(問8(2) AI の導入検討中のサービス、n=468)と図22(問8(1) IT の導入検討中のサービス、n=737)が全体版12ページに置かれています。AI側とIT側の範囲がどう定義されているかは、別記事の中小企業AI調査のAIの範囲を3か所で逐語対照で扱っています。

問6と問10は、4つの業務分野(①経営・企画部門/②製造・生産部門/③営業・販売・サービス・アフターサービス部門/④総務・管理部門)ごとに答える形式です。問6の図18(全体版10ページ)のnは、AI側が業務分野の順に333・321・325・331、IT側が900・892・905・916と印字されています。問10は図26〜図29(全体版15〜18ページ)が業務分野ごとに1枚ずつ置かれ、nは効果の種類7項目それぞれについてAI側とIT側に分けて印字されています。

出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」全体版(令和8年3月)1・2・8・9・10・11・12・13・14・15〜18・19・20・21・23ページおよび調査票54〜65ページ。全体版PDF

同じ選択肢の設問で、答えているのは同じ企業か

設問の群によって分かれます。問11・問12は両側とも全回答者が対象と印字され、問5・問6・問7・問8・問9・問10は、AI側とIT側で対象者の指定が別々に印字されています。

調査票62ページの「4.阻害要因」の見出しの直後には「すべての方に伺います。」と印字され、この節に置かれた問11・問12には設問ごとの対象者指定がありません。一方、問5・問6・問7・問9では、設問文の後、IT側と AI 等側それぞれの回答欄の見出しの直前に、「問3①IT ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」「問3②AI 等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」という指定が印字されています(調査票55〜59ページ)。設問の直前に対象者の指定が置かれている例は、問4です(調査票55ページ)。問8の指定はこれに「、「3.導入を予定・検討中」」が加わった形です。問10は、その前に「問6で『A.既に導入している』と回答した業務分野について伺います。」と印字され、AI側は「問6(2)AI 等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した業務分野のみ回答」「問9(2)AI 等ツール・サービスで回答した効果のみ回答」の2行が対象者として印字されています(調査票60〜61ページ)。

問11・問12の両側でnが一致しないのは、報告書2ページの「6.報告書の読み方」(4)に「各設問の『無回答』は集計母数から除外して、割合を算出している。」と印字されているためです。同(1)は「図表中の『n』は回答者総数(または該当者質問での該当者数)のことで、100%が何人の回答に相当するかを示す比率算出の基数を表す。」と定義しています。設問ごとの分母の一覧は、別記事の中小企業AI調査16個の数字の分母を調査票で確認で扱っています。

付加価値創出のAI 22.3%とIT 7.4%は、同じ企業に聞いた数字か

対象者の指定が異なる2つの設問の結果です。22.3%は問9(2)(AI側、n=327)、7.4%は問9(1)(IT側、n=900)で、対象を指定している問3の行が①と②で分かれています。

問9の「付加価値創出」の2つの値です。設問は問9(2)と問9(1)に分かれ、分母も別です。

22.3% 問9(2) AI「付加価値創出」/分母 n=327(図23)
7.4% 問9(1) IT「付加価値創出」/分母 n=900(図23)

問9の対象者を指定している問3の値です。上の2つとは設問も分母も別で、上の2つの内訳ではありません。

20.4% 問3② AI【既に導入している】/分母 n=1,647(図13)
55.5% 問3① IT【既に導入している】/分母 n=1,663(図13)

問3の設問文は、調査票55ページに次のように印字されています。

問3 貴社における IT・AI 等の導入状況について、最も近いものをお選びください。【○はそれぞれ 1 つ】(調査票55ページ)

回答欄は①IT ツール・サービスと②AI 等ツール・サービスの2行です。図13(問3 AI・IT の導入状況、全体版7ページ)では、AIの行が n=1,647、ITの行が n=1,663 で、全体版7ページの本文は【既に導入している】を「「一部の業務で導入している」と「全社的に導入している」の合計」と定義したうえで、AI 20.4%、IT 55.5%と記載しています。問9のAI側とIT側は、この②と①のそれぞれで【既に導入している】を選んだ企業を対象としています。

AIとITの両方を【既に導入している】と回答した企業が何社かについての記載は、全体版70ページとポイント版2ページを検索した範囲では見当たりません。両側の設問に同じ企業がどう答えたかを取り出した集計も、同じ範囲では見当たりません。

この2つの数値について、ポイント版と全体版はそれぞれ次のように記述しています。

一方でITの導入効果と比較すると「付加価値創出」の効果はAI(22.3%)がIT(7.4%)を約15ポイント上回る結果となっており、「付加価値創出」においては、AIが従来のIT活用より高い評価を得る結果となっている。(ポイント版2ページ、図表7 AI・ITの導入効果の解説文)

導入効果のうち「付加価値創出」について IT の効果と比較すると、AI(22.3%)が IT(7.4%)を上回っており、「付加価値創出」においては、AI が従来の IT 活用より高い評価を得る結果となった(図 23)。(全体版49ページ、「Ⅴ 総括」1.仮説検証(1))

「約15ポイント」の語は、ポイント版2ページに印字されています。全体版49ページの文には、この語は印字されていません。

出典:ポイント版2ページ、全体版49ページ。ポイント版PDF全体版PDF

導入目的と導入効果は、同じ選択肢で聞かれているのか

選択肢は8項目とも逐語一致で、番号の並びも同じです。異なるのは設問文で、問5が「導入した目的を選択してください。」、問9が「導入効果を選択してください。」です。

問5・問9の選択肢は、どちらも「1.業務効率化/作業時間の短縮」「2.人手不足対応」「3.品質向上」「4.コスト削減」「5.エラー・ミスの軽減」「6.売上拡大・顧客獲得」「7.付加価値創出」「8.その他(   )」で、いずれも【複数回答可】です(調査票55〜56ページ、59ページ)。

図15(問5、全体版8ページ)と図23(問9、全体版13ページ)に印字された値を、項目ごとに並べます。対象者はいずれも問3②または問3①で【既に導入している】と回答した企業です。

項目(調査票の選択肢名)問5(2) AI(n=331)問5(1) IT(n=920)問9(2) AI(n=327)問9(1) IT(n=900)
業務効率化/作業時間の短縮87.0%92.6%83.2%89.1%
人手不足対応31.7%30.5%33.9%32.3%
品質向上32.3%25.5%30.6%24.6%
コスト削減14.8%22.0%13.1%17.8%
エラー・ミスの軽減24.2%41.5%21.4%39.8%
売上拡大・顧客獲得22.1%14.2%17.4%11.6%
付加価値創出24.5%10.1%22.3%7.4%
その他2.7%2.5%3.1%1.9%

報告書は、この2つの図についてそれぞれ次のように記述しています。いずれも報告書側の記述です。

両者の差が最も高い項目は「エラー・ミスの軽減」となり、AI は IT を 17.3 ポイント下回る結果となった。(全体版8ページ、図15の解説)

両者の差が最も高い項目は「エラー・ミスの軽減」となり、AI は 18.4 ポイント下回る結果となった。(全体版13ページ、図23の解説)

問9は効果に当たる項目を選択肢から選ぶ複数回答で、効果の大きさ・金額・期間を尋ねる欄は、調査票59ページの問9(1)(2)には印字されていません。

コスト削減の目標と効果は、同じ聞き方か

同じではありません。目標を聞く問5(1-1)(2-1)には「特に目標は決めていない」のチェック欄が印字され、効果を聞く問9(1-1)(2-1)の該当欄にはその印字が見当たりません。

4つの設問を並べます。調査票の選択肢はいずれも「1割 2割 3割 4割 5割 6割 7割 8割 9割 10 割」の10区分で【○は1つ】です。報告書の図は、この10区分を「1〜3割」「4〜6割」「7〜10割」に括った形で示しています。

項目問5(2-1)【AI】目標問5(1-1)【IT】目標問9(2-1)【AI】効果問9(1-1)【IT】効果
設問文(逐語)AI 等の導入前に比べてどの程度のコスト削減を目指していますか。IT の導入前に比べてどの程度のコスト削減を目指していますか。AI 等を導入前に比べてどの程度のコスト削減ができましたか。IT を導入前に比べてどの程度のコスト削減ができましたか。
対象者(逐語)問5(2)で「4.コスト削減」と回答した方問5(1)で「4.コスト削減」と回答した方問9(2)で「4.コスト削減」と回答した方問9(1)で「4.コスト削減」と回答した方
「特に目標は決めていない」印字あり印字あり該当欄に印字が見当たらない該当欄に印字が見当たらない
図の区分数4区分(図16)4区分(図17)3区分(図24)3区分(図25)
n4919939151
1〜3割20.4%30.2%64.1%72.8%
4〜6割14.2%12.0%25.6%21.2%
7〜10割6.1%3.5%10.3%6.0%
特に目標は決めていない59.2%54.3%区分なし区分なし

図16・図17は全体版9ページ、図24・図25は全体版14ページに掲載されています。目標側の4区分には「特に目標は決めていない」が含まれ、効果側の3区分には含まれません。100%としている数(n)も、目標側が49・199、効果側が39・151で、それぞれ別の設問の該当者数です。

事例情報が足りないという83.3%は、AIについての数字か

この設問はITとAI 等を分けていません。問16の設問文は「IT・AI 等の導入にかかる社内の理解や情報量について伺います。」で、回答欄がITとAI 等に分かれていません(調査票64ページ)。

問16は4項目それぞれについて「とても当てはまる/やや当てはまる/あまり当てはまらない/全く当てはまらない」の4択で答える形式で、【○はそれぞれ 1 つ】と印字されています。項目④は「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」です。

図36(問16 社内の理解度や情報量、全体版23ページ)の該当行は n=1,635 で、「あまり当てはまらない」49.0%と「全く当てはまらない」34.3%が印字されています。報告書はこの2つの合計を【当てはまらない】として83.3%と記載しています。

一方、事例の不足をITとAI 等に分けて聞いているのは問11の選択肢8「成功事例・活用事例の不足」です。図30(全体版19ページ)の該当項目は、AI側が12.7%(n=1,636)、IT側が9.2%(n=1,663)と印字されています。

問16の項目②は「従業員の IT リテラシー※が高い」で、注は2行あり、「※IT リテラシーとは、IT(情報技術)を正しく理解し、目的に応じて使いこなす力のことを指します。」「例:パソコンやクラウドサービス、IT ツールなどを業務に活用する力 等。」と印字されています(調査票64ページ)。項目名にも注の2行にもAIの語は含まれていません。

ポイント版2ページで83.3%を紹介している囲みの見出しは「(5)AIをめぐる情報不足を背景に、活用事例などの情報提供が費用助成とともに高いニーズ」です。設問文は「IT・AI 等」、囲みの見出しは「AI」と印字されています。

阻害要因と運用課題は、誰を分母に、どの順で印字されているか

分母は、問11・問12とも「すべての方に伺います。」の節に置かれた全回答者で、無回答が集計母数から除外されるため両側のnは一致しません。並び順は、図30・図32とも「その他」「特になし」を末尾に置き、それ以外の項目をAI側の値の降順に印字しています。

図30・図32の最上段に印字されているのは、図30が「導入にあたっての高コスト」(AI 46.9%・IT 52.4%)、図32が「ランニングコストが高い」(AI 44.0%・IT 47.7%)です。以下、図30(問11(1)(2) AI・IT の導入における阻害要因、全体版19ページ)の全項目を、図に印字された順に並べます。対象者は「すべての方に伺います。」(調査票62ページ)。項目名は図30に印字されたラベルです。

項目(図30のラベル)問11(2) AI(n=1,636)問11(1) IT(n=1,663)
導入にあたっての高コスト46.9%52.4%
社内のIT/AI等ノウハウ不足42.0%41.6%
社内のIT/AI等人材不足38.8%38.2%
導入の必要性や効果が不透明24.1%24.2%
適切なサービスが見つからない19.1%16.7%
現状で満足しており、導入の必要性を感じない/認められない18.1%19.1%
セキュリティ・情報漏洩の懸念17.5%21.5%
成功事例・活用事例の不足12.7%9.2%
製品情報の不足12.5%9.2%
従業員の抵抗感11.9%15.3%
社内の検討・承認に時間がかかる9.4%11.0%
ベンダーとの調整に時間がかかる3.8%6.3%
その他1.0%1.4%
特になし11.7%10.0%

図32(問12(1)(2) 導入後の運用課題、全体版21ページ)の全項目です。対象者の指定は調査票63ページに印字されていません。

項目(図32のラベル)問12(2) AI(n=1,587)問12(1) IT(n=1,630)
ランニングコストが高い44.0%47.7%
運用担当者の負荷が重い29.1%33.1%
従業員による活用が進まない28.9%28.8%
期待していた効果が得られない13.7%13.4%
セキュリティ対応の負担が大きい13.6%15.4%
導入製品のアップデート対応への負担13.0%16.6%
導入製品の仕様変更対応への負担11.7%15.4%
監査負担が大きい5.2%4.6%
ベンダーのサポートが不十分4.7%6.5%
その他2.3%1.9%
特になし29.9%24.5%

図31(問11(1-1)(2-1) 効率化が難しいと感じる業務、全体版20ページ)は5項目で、AI側 n=1,539、IT側 n=1,552 です。「人の判断が必要な業務(営業提案、顧客折衝など)」がAI 67.1%・IT 68.4%、「社内調整・意思決定など属人的な業務」がAI 33.3%・IT 35.1%、「経営判断や戦略立案に関する業務」がAI 31.3%・IT 31.8%、「創造的な企画・開発業務(新製品企画、デザインなど)」がAI 18.9%・IT 20.1%、「その他」がAI 8.6%・IT 8.1%と印字されています。

出典:全体版19・20・21ページ、調査票62〜63ページ。全体版PDF

報告書の本文で使われている項目名は、調査票の選択肢名と一致しているか

一致しない箇所があります。同じ項目が、調査票・図のラベル・本文の3か所で別の文言で印字されています。

問11の選択肢3・4のAI側を3か所で並べます。

印字されている場所文言
調査票62ページ(選択肢)3.社内の AI 等人材不足/4.社内の AI 等ノウハウ不足
図30のラベル(全体版19ページ)社内のIT/AI等人材不足/社内のIT/AI等ノウハウ不足
全体版19ページの本文「社内の AI ノウハウ不足」(42.0%)/「社内の AI 人材不足」(38.8%)

報告書2ページの「6.報告書の読み方」(5)には「調査結果のコメントにおいては、選択肢を便宜上、略記している引用がある。」と印字されています。どの項目がこれに当たるかを項目ごとに対応づけた記載は、全体版2ページと19ページを確認した範囲では見当たりません。

問9の選択肢7についても文言が分かれます。調査票59ページと図23のラベルは「付加価値創出」、全体版13ページの冒頭の囲みは「IT にと比較して特に「付加価値向上」では AI に優位性」、ポイント版2ページの囲みの見出しは「(4)AIの導入効果として「付加価値創出」はITよりも高評価」です。

取得できなかったものは何か

この調査に紐づいて公表されているPDF2点を取得し、そのうち次の項目は確認できていません。

これらの数字から何を言えて、何を言えないか

言えるのは、印字された設問文・対象者指定・nから読み取れる範囲までです。並んでいる2つの数字が同じ回答者集合から出ているかどうかは、設問の群によって分かれます。

言えること

対になっている11組の内訳
設問の中で(1)(2)の番号がIT側とAI 等側に振られ、それぞれに別の回答欄が置かれている設問は11組で(枝番の(1-1)(2-1)は、親設問の(1)(2)に対応する1組として数えています)、選択肢が逐語一致するのは問5・問5(1-1)(2-1)・問6・問9・問9(1-1)(2-1)・問10・問11(1-1)(2-1)・問12の8組、選択肢の一部で語が入れ替わるのは問11の1組(14項目のうち3・4)、選択肢そのものが別建てなのは問7・問8の2組です。問3は回答欄が①②を行とする1つの表、問16は回答欄が①〜④を行とする1つの表で、どちらも(1)(2)に分かれないため、この11組に含めていません。
問5・問9の選択肢
AI側とIT側で8項目が逐語一致し、番号の並びも同じです。どちらも【複数回答可】で、異なるのは設問文(「導入した目的」と「導入効果」)と対象者の指定です。
22.3%と7.4%の位置
22.3%は問9(2)(対象は「問3②AI 等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」、n=327)、7.4%は問9(1)(対象は「問3①IT ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」、n=900)の値です。2つは対象者の指定が別々に印字された設問の結果です。
分母の規模
問3で【既に導入している】はAIが20.4%(n=1,647)、ITが55.5%(n=1,663)です。問5・問6・問7・問9のAI側とIT側は、この②と①のそれぞれで【既に導入している】と答えた企業を対象者として印字しています。
問11・問12の対象
調査票62ページの「4.阻害要因」の直後に「すべての方に伺います。」と印字され、この節の問11・問12には設問ごとの対象者指定がありません。両側のnが一致しないのは、報告書2ページ(4)の「各設問の『無回答』は集計母数から除外して、割合を算出している。」という処理によるものです。
目標と効果の選択肢
問5(1-1)(2-1)には「特に目標は決めていない」のチェック欄が印字され、問9(1-1)(2-1)の該当欄にはその印字が見当たりません。目標を尋ねる設問と効果を尋ねる設問は、選択肢の構成が同じではありません。
83.3%が数えているもの
問16は設問文が「IT・AI 等」で、回答欄がITとAI 等に分かれていません。83.3%(n=1,635)は、項目④「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」に対する「あまり当てはまらない」49.0%と「全く当てはまらない」34.3%の合計です。
項目名の異同
同じ選択肢が、調査票では「社内の AI 等ノウハウ不足」、図30のラベルでは「社内のIT/AI等ノウハウ不足」、全体版19ページの本文では「社内の AI ノウハウ不足」と印字されています。

言えないこと

同じ企業がAIとITを比べた結果としての読み方
22.3%と7.4%を、同じ企業がAIとITを並べて評価した結果として扱うことはできません。問9(2)と問9(1)は、対象者の指定が別々に印字された設問です。AIとITの両方を【既に導入している】と回答した企業の数と、その企業だけの集計は、公表2点を確認した範囲では見当たりません。
効果の大きさ
問9は該当する効果を選択肢から選ぶ複数回答で、効果の金額・期間・測定方法を尋ねる欄は調査票59ページの問9(1)(2)に印字されていません。問9(1-1)(2-1)で聞いているのは、コスト削減を選んだ企業に限った削減割合です(n=151/39)。
実測値としての扱い
問5・問9の値は、冒頭に示した調査設計(「Web 調査(郵送配付、Web 回収)」)のもとで、回答企業が選択肢から選んだ結果です。外部の測定にもとづく値であることを示す記載は、全体版1ページの調査設計欄を確認した範囲では見当たりません。
83.3%のAIへの帰属
83.3%を、AIについての情報不足を示す数字として扱うことはできません。問16の回答欄はITとAI 等に分かれていません。ITとAI 等を分けて事例の不足を聞いているのは問11の選択肢8で、その値はAI 12.7%(n=1,636)・IT 9.2%(n=1,663)です。ITとAI 等を分けない設問の一覧は、別記事の中小企業AI調査のAIの範囲を3か所で逐語対照で扱っています。
調査期間の外側
調査期間は令和7年11月17日〜12月12日です。この期間より後の状況は、この調査からは読み取れません。

この記事は何を出典にしているか

  1. 中小企業基盤整備機構|中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(全体版・令和8年3月)
  2. 中小企業基盤整備機構|中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)調査結果のポイント
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