私たちはモノサシを置く。測るのはあなた。
検証

中小企業AI調査のAIの範囲を3か所で逐語対照

独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」は、AIの範囲を「AI 技術を用いたサービス」と定義し、この定義文は公表されている2点のPDFの3か所——ポイント版1ページ、全体版1ページ、全体版の巻末に収録された調査票(印字55ページ)——に印字されています。AI側の定義文そのものは3か所で共通しますが、見出しの語・AIとITの記載順・語尾・例示語の数(AI側はポイント版3語・全体版4語・調査票4語)は一致しません。

最終確認
2026-08-19
対象
中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(令和8年3月)全体版70ページ・ポイント版2ページ、および同機構のアンケート調査一覧ページ
確認範囲
公表2点のPDF(全体版・ポイント版)と機構のアンケート調査一覧ページに印字された定義文・設問文・選択肢・図表のラベル。他の調査の定義との比較は行っていない
更新周期
更新なし

この調査は「AIの範囲」をどう書いているか

全体版1ページの記載は「AI の範囲:AI 技術を用いたサービス」で、直後に4語の例示が括弧で添えられています。

全体版1ページの「Ⅰ 調査概要」の「1.調査目的」の直後に、次の記載が置かれています。

<本調査における AI・IT の範囲について> AI の範囲:AI 技術を用いたサービス  (例:画像認識 AI、音声認識 AI、需要予測 AI、生成 AI など) IT の範囲:業務効率化や生産性向上を目的とした IT ツール・サービス  (例:RPA、クラウド会計、勤怠管理、BI ツール、チャットボット、業務支援システムなど)

AI側の定義文は「AI 技術を用いたサービス」の一文で、業種・部門・規模・利用形態による限定は付いていません。例示は「画像認識 AI」「音声認識 AI」「需要予測 AI」「生成 AI」の4語で、いずれも語尾に「AI」が付いています。

出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」全体版(令和8年3月)1ページ。全体版PDF

導入率20.4%は、生成AIの利用率か

違います。20.4%は問3②「AI 等ツール・サービス」の導入状況を4択で聞いた結果で、生成AIは別の設問(問7(2))の6つの選択肢のうちの1つです。

20.4% 問3②の導入率(n=1,647)
82.6% 図19の生成AI(n=322)
4語 AI側の定義に添えられた例示(全体版1ページ)
6区分 問7(2)の選択肢(うち1つは記入式の「その他」)

問3の設問文は「問3 貴社における IT・AI 等の導入状況について、最も近いものをお選びください。【○はそれぞれ 1 つ】」です(調査票55ページ)。回答は①IT ツール・サービスと②AI 等ツール・サービスの2行に分かれ、4つの選択肢は「A.既に導入している」「B.まだ導入していない」という2つの群見出しの下に置かれています。前者に「一部の業務で導入している」「全社的に導入している」、後者に「導入を予定・検討中」「導入予定はない」が並び、この4つから1つを選ぶ形式です。図13(問3 AI・IT の導入状況、全体版7ページ)のAIの行には n=1,647 と印字され、全社的に導入している3.6%、一部の業務で導入している16.8%、導入を予定・検討中18.6%、導入予定はない61.0%が並びます。報告書はこのうち「A.既に導入している」側の2つを【既に導入している】としてまとめ、20.4%と記載しています。

生成AIが現れるのは、問7(2)(導入しているサービスの複数回答)の3番目の選択肢としてです。図19(問7(2) AI の導入済みサービス、全体版11ページ、n=322)の82.6%は、調査票58ページで対象を「問3②AI 等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」と指定した設問の結果です。20.4%と82.6%は、100%としている数が異なります。この2つの数がそれぞれ何社を100%としているかは、別記事の中小企業AI調査16個の数字の分母を調査票で確認で設問単位に扱っています。

定義文は、公表された3か所で同じ文言か

一致しません。見出しの語、AIとITの記載順、語尾、例示語の数が、3か所で異なります。

定義文が印字されているのは、ポイント版1ページ、全体版1ページ、そして全体版の巻末に収録された調査票(印字55ページ)の3か所です。3つを逐語で並べると次のようになります。

項目ポイント版(1ページ)全体版(1ページ)調査票(55ページ)
見出し<本調査におけるAI・ITの範囲について><本調査における AI・IT の範囲について><本調査における「IT・AI 等」の範囲について>
記載順AI → ITAI → ITIT → AI 等
AI側の見出し語AIの範囲AI の範囲AI 等の範囲
AI側の定義文AI技術を用いたサービスAI 技術を用いたサービスAI 技術を用いたサービスが対象。
AI側の例示(例:画像認識、音声認識、生成AIなど)=3語(例:画像認識 AI、音声認識 AI、需要予測 AI、生成 AI など)=4語(例:画像認識 AI、音声認識 AI、需要予測 AI、生成 AI など)=4語
IT側の定義文業務効率化や生産性向上を目的としたITツール・サービス業務効率化や生産性向上を目的とした IT ツール・サービス業務効率化や生産性向上を目的とした IT ツール・サービスが対象。
IT側の例示(例:RPAなど)=1語(例:RPA、クラウド会計、勤怠管理、BI ツール、チャットボット、業務支援システムなど)=6語(例:RPA、クラウド会計、勤怠管理、BI ツール、チャットボット、業務支援システムなど)=6語
末尾の文〈なし〉〈なし〉以降の設問では、貴社の業務におけるこれらのサービスの導入状況や効果についてお答えください。

差は4種類に整理できます。(1)見出しの語は、報告書側が「AI・IT の範囲」、調査票側が「『IT・AI 等』の範囲」です。(2)記載順は、報告書側がAIを先に、調査票側がITを先に書いています。(3)語尾は、調査票側にだけ「が対象。」が付き、句点で終わります。(4)例示語の数は、AI側がポイント版3語・全体版4語・調査票4語、IT側がポイント版1語・全体版6語・調査票6語です。ポイント版のAI側の例示3語は「画像認識」「音声認識」「生成AI」で、前の2語には全体版・調査票にある語尾の「AI」が付かず、「需要予測 AI」に当たる語がありません。

AI側の定義文そのもの(「AI 技術を用いたサービス」)は3か所で共通しています。回答者が読んだのは調査票の側です。

出典:全体版1ページ・55ページ、ポイント版1ページ。ポイント版PDF全体版PDF

AIの範囲とITの範囲は、どこで書き分けられているか

AI側は使われている技術で、IT側は導入の目的で書かれています。2つの定義文の主語のかかり方が違います。

2つの定義文を並べると、修飾のしかたが異なります。

AI側
「AI 技術を用いたサービス」。サービスを限定しているのは「AI 技術を用いた」という技術の条件です。目的・用途・部門についての条件は、この文には含まれていません。
IT側
「業務効率化や生産性向上を目的とした IT ツール・サービス」。ツール・サービスを限定しているのは「業務効率化や生産性向上を目的とした」という目的の条件です。使われている技術についての条件は、この文には含まれていません。

2つの条件は排他的な書き方になっていません。AI技術を用いたサービスが業務効率化を目的として導入される場合、文面上は2つの条件を同時に満たします。どちらに数えるかを決める規則は、全体版2ページの「6.報告書の読み方」(5項目)と調査票55ページの定義欄を確認した範囲では、記載が見当たりません。

例示に挙がっている語は、限定列挙か

「(例:…など)」の形で書かれており、選択肢側にも記入式の「その他」欄があります。ここに挙がっていないものが対象外だとする記載は、確認した範囲では見当たりません。

全体版1ページと調査票55ページの例示は、いずれも「(例:」で始まり「など)」で閉じられています。問7(2)の選択肢にも「6.その他(    )」という記入欄があり(調査票58ページ)、図19にはその集計値として「その他 7.5」が印字されています(全体版11ページ、n=322)。

したがって、全体版1ページの例示4語と、問7(2)の6区分のうち具体名の付いた5つに載っていないサービスも、記入式の「その他」から回答されうる形式です。

定義文と例示語からは所属先を決められないものはあるか

印字された語の一致で照合した範囲では、AI側とIT側の双方に出てくる語は見当たりません。いっぽう、例示にも選択肢にも印字されていないサービスについては、照合する語が原文にないため、所属先はこの照合では決まりません。

照合した範囲は、定義文が印字されている3か所(ポイント版1ページ、全体版1ページ、調査票55ページ)の例示語と、問7の選択肢——(1)IT ツール・サービスの9区分(調査票57ページ)、(2)AI 等の技術を活用したサービスの6区分(調査票58ページ)——です。

例示語(全体版1ページ・調査票55ページ)印字されている側問7の選択肢での印字反対側の例示・選択肢での印字
画像認識 AIAI側問7(2)「1.画像認識 AI(外観検査、不良品検出)」見当たらない
音声認識 AIAI側問7(2)「2.音声認識・音声対話 AI(議事録作成、自動応答)」見当たらない
需要予測 AIAI側問7(2)「4.需要予測 AI(販売・在庫最適化)」見当たらない
生成 AIAI側問7(2)「3.生成 AI(文章・資料作成、アイデア出し)」見当たらない
RPAIT側問7(1)「1.RPA(定型業務自動化)」見当たらない
クラウド会計IT側問7(1)「4.クラウド会計・給与計算(freee、マネーフォワード等)」見当たらない
勤怠管理IT側問7(1)「5.勤怠管理・シフト作成ツール」見当たらない
BI ツールIT側問7(1)「3.BI ツール(Tableau、Power BI 等)」見当たらない
チャットボットIT側問7(1)「2.チャットボット(顧客・社内問い合わせ)」見当たらない
業務支援システムIT側対応する語の印字は見当たらない見当たらない

ポイント版1ページの例示は、AI側が「画像認識」「音声認識」「生成AI」の3語、IT側が「RPA」の1語です。この4語についても、反対側の例示・選択肢に同じ語の印字は見当たりません。

したがって、この節の問いに対して、原文に印字された語の中から該当する語を挙げることはできませんでした。定義欄の例示は「(例:…など)」の形で書かれており、回答しうる範囲を閉じておらず、問7(1)(2)にはいずれも記入式の「その他」があります。そこから回答されうるサービスは、定義欄にも選択肢にも語が印字されていないため、語の一致・不一致による照合の対象になりません。原文に印字されていない語を、ここで挙げることはしません。

出典:全体版1ページ・55ページ・57ページ・58ページ、ポイント版1ページ。全体版PDFポイント版PDF

定義は、回答者のどこに置かれていたか

調査票では「2.導入状況」の見出しの直下、問3の直前です。企業属性を聞く問1・問2より後にあります。

調査票(全体版54〜55ページ)の並びは次のとおりです。

  1. 「■回答者様について」(会社名・役職・Email)
  2. 「1.企業属性」…問1(直近3年間の売上推移)、問2(直近の営業利益)
  3. 「2.導入状況」…<本調査における「IT・AI 等」の範囲について>
  4. 問3(IT・AI 等の導入状況)

定義欄の末尾には「以降の設問では、貴社の業務におけるこれらのサービスの導入状況や効果についてお答えください。」という一文が付いています。この文は、報告書側の定義欄(全体版1ページ)には印字されていません。

選択肢の6区分は、定義の例示と対応しているか

全体版1ページの例示4語は、いずれも選択肢では用途の括弧書きが加わった形になり、うち1語(音声認識 AI)は語そのものも増えています。選択肢は全6区分で、そのうち2つ(異常検知 AI と記入式の「その他」)は例示にありません。

定義の例示(AI側・全体版1ページの4語)問7(2)の選択肢(調査票58ページ・6区分)図19のラベルと値(全体版11ページ、n=322)
画像認識 AI1.画像認識 AI(外観検査、不良品検出)画像認識AI(外観検査、不良品検出)11.2%
音声認識 AI2.音声認識・音声対話 AI(議事録作成、自動応答)音声認識・音声対話AI(議事録作成、自動応答)29.8%
生成 AI3.生成 AI(文章・資料作成、アイデア出し)生成AI(文章・資料作成、アイデア出し)82.6%
需要予測 AI4.需要予測 AI(販売・在庫最適化)需要予測AI(販売・在庫最適化)8.1%
〈例示に無し〉5.異常検知 AI(設備保全、予防保守)異常検知AI(設備保全、予防保守)4.3%
〈例示に無し〉6.その他(    )その他 7.5%

読み取れることは3つです。第一に、例示の「音声認識 AI」は、選択肢では「音声認識・音声対話 AI」に語が加わっています。第二に、6区分のうち「異常検知 AI」と記入式の「その他」の2つは、定義の例示4語には入っていません。第三に、具体名の付いた5区分では、選択肢と図19のラベルの双方に用途の括弧書き(外観検査、不良品検出 など)が付いており、定義の例示には付いていません。残る1区分の「6.その他(    )」の括弧は用途ではなく記入欄で、図19のラベルは括弧書きの付かない「その他」です。

なお、選択肢の並びは調査票が画像認識AIから始まる番号順、図19は具体名の付いた5区分が値の大きい順(生成AI 82.6%、音声認識・音声対話AI 29.8%、画像認識AI 11.2%、需要予測AI 8.1%、異常検知AI 4.3%)で、「その他」7.5%はその5区分の後の末尾に置かれています。図20(IT側)でも、調査票の並び(RPA、チャットボット、BI ツール、クラウド会計・給与計算、勤怠管理・シフト作成ツール、電子契約・電子請求書、CRM・SFA、マーケティングオートメーション(MA)、その他)に対して、図の並びはクラウド会計・給与計算 69.4%、勤怠管理・シフト作成ツール 46.9%、電子契約・電子請求書 35.5%、RPA 11.1%、チャットボット 9.2%、CRM・SFA 8.2%、マーケティングオートメーション(MA)3.4%、BIツール 1.9%、その他 13.3% の順です。図20のラベルからは、調査票にあった「(Tableau、Power BI 等)」「(freee、マネーフォワード等)」「(Salesforce、kintone 等)」の括弧書きが外れています。全体版2ページの「報告書の読み方」(5)には「調査結果のコメントにおいては、選択肢を便宜上、略記している引用がある。」と記載されています。

「その他 7.5%」の中身は公表されているか

全体版70ページとポイント版2ページを検索した範囲では、記入内容を集計・列挙した箇所は見当たりません。

図19の「その他 7.5」に対応する調査票の欄は「6.その他(    )」で、記入式です(調査票58ページ)。この記入内容がどのようなサービスだったかを示す表や本文は、確認した範囲では見当たりません。

全体版に自由回答を集計した箇所はあります。24ページの表2(問 18 公的支援への意見や改善要望)はカテゴリー別の件数で示され、続けて「各カテゴリーで得た自由回答を共起ネットワーク図に示す。」と記載されています。ただしこれは問18についてのもので、問7(2)の「その他」の記入内容ではありません。

したがって、図19の6区分のうち「その他 7.5%」の内側にどのサービスが含まれるかは、公表された2つのPDFからは決められません。

「AI」と「AI等」は、どこで使い分けられているか

調査名だけで4通りの表記があり、設問文・選択肢の見出し・図表名では別の語が使われています。どの場面でどの表記を使うかの規則は、確認した範囲では記載が見当たりません。

表記出現場所
中小企業の AI 等の利活用に係る実態調査全体版の表紙・裏表紙
中小企業のAI等の利活用に係る実態調査 (2026年3月)ポイント版の表題
中小企業のIT・AI等の利活用に係る実態調査調査票の表題(全体版54ページ)
中小企業のAI等利活用に係る実態調査(2026年3月)機構サイトのアンケート調査一覧ページの見出し。同ページのリンク文字列は「中小企業のAI等利活用に係る実態調査(2026年3月)(ポイント版)(PDF:1.2 MB)」「中小企業のAI等利活用に係る実態調査(2026年3月)(全体版)(PDF:3.2 MB)」
IT・AI 等調査票の設問文(問3・問6・問11・問13・問14・問15・問16・問17 ほか)
AI 等ツール・サービス/AI 等の技術を活用したサービス調査票の選択肢の見出し。問5・問6・問8・問9・問10・問11・問12の(2)は「AI 等ツール・サービス」、問7(2)は「AI 等の技術を活用したサービス」
AI報告書本文の図表名(図13「問3 AI・IT の導入状況」、図19「問7(2) AI の導入済みサービス」ほか)

一覧ページの見出しとリンク文字列は「AI等利活用」で、表紙の「AI 等の利活用」から「の」が外れています。また、調査票の表題には「IT・」が付いていますが、全体版の表紙・裏表紙とポイント版の表題には付いていません。

表記の使い分けの規則は、全体版2ページの「6.報告書の読み方」(5項目)を確認した範囲では記載が見当たりません。同項の(5)に「調査結果のコメントにおいては、選択肢を便宜上、略記している引用がある。」という記載はありますが、対象は選択肢の引用です。

出典:全体版 表紙・2ページ・7ページ・11ページ・54〜65ページ、ポイント版1ページ、中小企業基盤整備機構|アンケート調査

この定義とは別に、用語を定義している設問はあるか

あります。調査票には、設問の中に別の用語定義(※注)が置かれた箇所が3つあります。

問4「手作業」
「※『手作業』とは紙ベースでの作業、手書き・手入力等の非 IT 化業務、人の判断に依存する作業などを指します。おおよその感覚で結構です。」(調査票55ページ)。全体版7ページにも、ほぼ同じ文が図の本文の下に※1)として置かれています。
問16の項目②「IT リテラシー」
「※IT リテラシーとは、IT(情報技術)を正しく理解し、目的に応じて使いこなす力のことを指します。例:パソコンやクラウドサービス、IT ツールなどを業務に活用する力 等。」(調査票64ページ)。問16の①〜④は、当てはまる度合いを4段階で聞く評価項目の番号です(①社内において IT・AI 等の必要性への理解がある、②従業員の IT リテラシー※が高い、③適切なベンダーや製品を選定する情報が十分にある、④成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている)。問3の①②のようにITとAI 等を分ける番号ではありません。
問19「クラウドサービス」
「※ SaaS など『クラウドサービス』とは、利用者(ユーザー)が必要とするシステム機能をネットワーク経由にて提供するサービスのことを指します。」(調査票65ページ)

「AI」「AI 等」に対する追加の※注は、調査票54〜65ページを確認した範囲では、55ページの定義欄以外に見当たりません。

ITとAIを分けずに聞いている設問はどれか

問13から問17です。この5問は設問文が「IT・AI 等」で、回答欄がITとAI 等に分かれていません。

調査票の設問は、回答の形式で2つに分かれます。

形式該当する設問回答の単位
ITとAI等を分ける問3(①IT/②AI 等の2行)、問5・問6・問7・問8・問9・問10・問11・問12(それぞれ(1)IT/(2)AI 等の2部)ITとAI等で別々に回答
分けない問13・問14・問15・問16・問17(設問文が「IT・AI 等」で、回答欄がITとAI 等に分かれない。問16の①〜④は評価項目の番号)ITとAI等をまとめて回答
IT側の回答者に限定問4(問3①で「A.既に導入している」と回答した方)、問19(同)IT側について回答

分けない側の設問については、報告書の図も1系列で示されています。図33(問 13 導入を推進する担当部署の存在、全体版22ページ)は n=1,605 の帯グラフ1本で、「専任担当部署が存在する」2.3%、「専任ではないが、推進するための部署が存在する」9.7%、「特定の部署はなく、経営者・現場が個別に推進している」88.0%が印字されています。図37(問 17 導入を推進するために必要な公的支援、全体版23ページ)も、AIとITを分けない形で示されています。

この5問の回答から、AIについての回答だけを取り出すことはできません。設問文と回答欄が、ITとAI 等をまとめて答える形式になっているためです。

取得できなかったものは何か

この調査に紐づいて一覧ページに掲載されているPDFは2点で、2点とも取得しました。次の項目は、その2点の範囲では確認できていません。

定義の書き方が適切かどうかは、この記事では判定していません。扱ったのは、印字されている文言の異同です。

この定義から何を言えて、何を言えないか

言えるのは、公表された文言と選択肢から読み取れる範囲までです。個別のツールがこの調査のどちらに数えられたかは、公表資料からは決まりません。

言えること

20.4%が数えているもの
「AI 技術を用いたサービス」という定義文と調査票55ページの例示4語を読んだ回答者が、問3の②AI 等ツール・サービスの行で「一部の業務で導入している」16.8%または「全社的に導入している」3.6%を選んだ結果の合計です。生成AIに限った設問ではありません。
生成AIの位置
生成AIは、問7(2)の6つの選択肢のうちの1つです。図19の82.6%は、調査票58ページで対象を「問3②AI 等ツール・サービスで『A.既に導入している』と回答した方」と指定した設問の結果(n=322)で、20.4%の内側を分解した位置にあります。
定義の形式
定義文は「(例:…など)」の形で書かれ、問7(2)の選択肢6区分にも記入式の「6.その他(    )」が含まれます。調査票55ページの例示4語と、具体名の付いた5区分は、回答しうる範囲を閉じる書き方になっていません。
3か所の異同
AI側の定義文「AI 技術を用いたサービス」は3か所で共通し、見出しの語(AI の範囲/AI 等の範囲)、AIとITの記載順、語尾(「が対象。」の有無)、例示語の数(AI側3語・4語・4語/IT側1語・6語・6語)は一致しません。
回答者が読んだ側
回答時に読まれたのは調査票55ページの文言です。「AI 等の範囲:AI 技術を用いたサービスが対象。」で、ITの定義がAIより先に置かれ、末尾に「以降の設問では、貴社の業務におけるこれらのサービスの導入状況や効果についてお答えください。」が付いています。
分けられない5問
問13〜問17は設問文が「IT・AI 等」で、回答欄がITとAI 等に分かれていません。この5問の値は、AIについての回答とITについての回答に分けられません。

言えないこと

個別ツールの所属と境界の位置
ある製品がこの調査の「AI 等」に数えられたか「IT」に数えられたかは、定義文と例示語からは決まりません。AI側は技術で、IT側は目的で書かれており、前掲のとおり2つの条件を同時に満たす場合の扱いは記載が見当たりません(探索範囲は全体版2ページの「6.報告書の読み方」と調査票55ページの定義欄)。定義文の例示語と問7の選択肢を語の一致で照合した範囲では、AI側とIT側の双方に出てくる語は見当たりませんが、そこに印字されていないサービスの位置は、この照合では決まりません。
その他の内側
図19の「その他 7.5%」に、どのサービスがどれだけ含まれるか。記入内容の集計は、確認した範囲では公表されていません。
他調査との突き合わせ
この20.4%や82.6%を、他の調査の「AI導入率」「生成AI利用率」と同じ対象を数えた数字として扱うことはできません。この調査の定義文・設問文・選択肢からは、他の調査が同じ対象を数えた設計であることを確認できないためです。調査ごとの設計の違いは、別記事の生成AI活用率34.5%と86.4%に分かれる理由で扱っています。本記事が扱った調査は、AIとITの範囲を定義文の形で公表しています。
回答者の解釈
回答者がこの定義文をどう解釈して回答したか。調査票54〜65ページを確認した範囲では、解釈を自由記述で尋ねた設問は見当たらず、報告書に回答者の解釈を確認した旨の記載も、全体版70ページとポイント版2ページを検索した範囲では見当たりません。
表記の使い分け
「AI」「AI 等」「IT・AI 等」の3つの表記が、意味の違いを表しているのか単なる表記の揺れなのか。「報告書の読み方」を確認した範囲では、使い分けの説明は見当たりません。

この記事は何を出典にしているか

  1. 中小企業基盤整備機構|中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(全体版・令和8年3月)
  2. 中小企業基盤整備機構|中小企業のAI等利活用に係る実態調査(2026年3月)ポイント版
  3. 中小企業基盤整備機構|アンケート調査
Copyright © NISHIMURA Co., Ltd. All Rights Reserved.