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検証

PwC生成AI調査87%の内訳を報告書で確認

PwC Japanグループ「生成AIに関する実態調査2026 春」で示された87%は、「活用中」71%と「推進中」16%を足した値で、報告書35ページのグラフに単独の87%という帯はありません。この記事は、87%を構成する選択肢の文言、「前回調査から+11pt」の比較元、6カ国比較の対象条件と回答者数を、2026春と2025春の報告書PDFに印字された値だけで確定させます。

最終確認
2026-08-22
対象
PwC Japanグループ「生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較」報告書PDF(231ページ)と「生成AIに関する実態調査2025 春 5カ国比較」報告書PDF(175ページ)
確認範囲
上記2本のPDFに印字された数値・設問文・注記と、2026春の調査ページの本文。他の調査の数値との比較は行っていない
更新周期
更新なし

87%は、どの選択肢を合計した数字か

「活用中」71%と「推進中」16%の合計です。回答者が選んだ単一の選択肢の値ではありません。

87% 活用中・推進中
71% 活用中
16% 推進中
9322026春のn(名)

2026春の報告書35ページの見出しは「自社の生成AI活用の推進度合いでは『活用中・推進中』が87%(前回調査から+11pt)に達し、『未着手・断念』は4%(同、-5pt)に半減。」です。同じページの帯グラフは、2026年春の行が左から「活用中」71%、「推進中」16%、「検討中」9%、「未着手・断念」4%の4区分に分かれています。設問文は「あなたが働く会社における、社内向けまたは社外向けの生成AI活用検討の推進度合いとして、最も当てはまるものをお答えください。」で、2026年春のnは932です。

この4区分は、回答者に提示された選択肢そのものではありません。35ページの注記には「2024年 春の調査以降は『社外向けの生成AI活用サービスを提供している』『社外向けには提供していないが、社内業務等で生成AIを活用している』の選択肢を『活用中』、『生成AI活用に向けた具体的な案件を推進中』を『推進中』、『検討中』を『検討中』、『まだ検討していない』『検討したが断念した』『わからない』を『未着手・断念』として集計(以下のグラフすべて同様)」と印字されています。選択肢ごとの割合は、同じ報告書の164ページに、2025春との対比で示されています。

選択肢の文言(164ページ)2026春2025春35ページでの集計区分
社外向けの生成AI活用サービスを提供している27%22%活用中
社外向けには提供していないが、社内業務等で生成AIを活用している44%33%活用中
生成AI活用に向けた具体的な案件を推進中16%20%推進中
検討中9%15%検討中
まだ検討していない3%5%未着手・断念
検討したが断念した0%0%未着手・断念
わからない1%4%未着手・断念

164ページの2026春の値では、「活用中」にあたる2つの選択肢が27%と44%で、足すと71%になり、35ページの帯と一致します。2025春は22%と33%で合計55%となり、35ページの帯の56%とは1pt違います。報告書5ページには「整数となるように小数点以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります(以下のグラフ全て同様)」との注記があります。

87%に含まれる16ptは、「生成AI活用に向けた具体的な案件を推進中」を選んだ層です。また「未着手・断念」の4%には、「わからない」を選んだ1%が含まれます。

なお、この設問の設問文は2か所で異なる文として印字されています。35ページは上記の1文、164ページは「社内向けまたは社外向けの生成AI活用の検討の度合いとして、最も当てはまるものをお答えください。あなたが働く会社における、生成AI活用の推進度合いについてお伺いします。」の2文です。164ページには「※ 社内向け:社内業務の効率化など」「※ 社外向け:既存サービスへの生成AIや、生成AIを活用した新たなサービスなど」の注記も置かれています。

出典:PwC Japanグループ「生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較」5ページ・35ページ・164ページ。2026春 報告書PDF

「前回調査から+11pt」は、同じ集計ルールどうしの比較か

2025春と2026春は、報告書の注記によれば同じ集計ルールです。87%と、2025春の「活用中」56%+「推進中」20%=76%との差が11ptにあたります。いっぽう2023春は別のルールで集計され、「活用中」にあたる選択肢がなかったため無表記です。

35ページの帯グラフには4回分の行が並び、値は次のとおりです。2023年春は「活用中」0%・「推進中」8%・「検討中」14%・「未着手・断念」78%、2024年春は43%・24%・24%・9%、2025年春は56%・20%・15%・9%、2026年春は71%・16%・9%・4%です。このうち2023年春の「活用中」には、帯の左端の上に「0%」が、他の値と同じ体裁のデータラベルとして印字されています。いっぽう同じページの注記1つ目は、該当する2つの選択肢がなかったため無表記だとしており、グラフの印字と注記は同じページの中で食い違っています。

同じページの注記は4つに分かれています。1つ目は「2023年 春の選択肢の『予算化済み』を『生成AI活用に向けた具体的な案件を推進中』に統合し再集計、『社外向けの生成AI活用サービスを提供している』と『社外向けには提供していないが、社内業務等で生成AIを活用している』の選択肢がなかったため、無表記」、2つ目は「2023年 春の調査結果から今回調査対象と同様の属性に絞って再集計」、3つ目は「2023年 春は、『具体的な案件を推進中』『予算化済み』を『推進中』、『検討中』を『検討中』、『まだ検討していない』『検討したが断念した』『わからない』を『未着手・断念』として集計(以下のグラフすべて同様)」、4つ目は「2024年 春の調査以降は『社外向けの生成AI活用サービスを提供している』『社外向けには提供していないが、社内業務等で生成AIを活用している』の選択肢を『活用中』、『生成AI活用に向けた具体的な案件を推進中』を『推進中』、『検討中』を『検討中』、『まだ検討していない』『検討したが断念した』『わからない』を『未着手・断念』として集計(以下のグラフすべて同様)」です。この4つ目が、下の表の「2024春以降のルール」にあたります。同じ注記は2025春の報告書13ページにも、1つ目と2つ目が同じ文で印字されています。

調査実施時期n活用中推進中集計ルール
2023年春この2本の報告書では記載を確認できていない238無表記(0%)8%「予算化済み」を統合して再集計。属性を絞って再集計
2024年春同上91243%24%2024春以降のルール
2025年春2025年2月19日~2月25日94556%20%同上
2026年春2026年2月12日~2月19日93271%16%同上

2023年春のnは「今回調査対象と同様の属性に絞って再集計」した後の数として印字されています。実施時期は、2026春の報告書30ページと2025春の報告書11ページの調査概要に、それぞれ日本の調査分だけが記載されています。2023年春・2024年春の実施時期は、この2本のPDFを見た範囲では記載を確認できていません。

出典:2026春 報告書35ページ・30ページ、2025春 報告書13ページ・11ページ。2025春 報告書PDF

4回の調査は、同じ条件の回答者に聞いたものか

2025春と2026春については、調査概要ページに並ぶ4つの条件が同じ文言です。ただし回答者数は945名と932名で異なり、同じ回答者に聞いたかどうかは、2本の報告書を見た範囲では記載を確認できていません。

2026春の報告書30ページ(ページ番号の印字なし)と2025春の報告書11ページ(同)の「調査対象の条件」は、いずれも次の4項目です。

条件1
日本国内の企業・組織に所属する従業員
条件2
売上高500億円以上
条件3
課長職以上
条件4
生成AI導入に対して何らかの関与がある人物(意思決定、企画検討など)

調査方法はどちらも「Web調査」の1語です。質問内容の欄は、2026春が「生成AIに関する意識変化、活用・効果、成果・還元の状況」「生成AIへの認知、興味・関心、ガバナンス、今後の見込み、周囲への期待」の2項目、2025春が「生成AIに関する認知、興味・関心、活用状況、ガバナンス、今後の見込み、周囲への期待について」の1項目です。

各報告書2ページの「はじめに」では、対象の書き方が異なります。2026春は「本調査は、売上高500億円以上の企業・組織に勤務する課長職以上で、生成AI導入に対して何らかの関与がある方々を対象に実施しました。」、2025春は「本調査は、売上高500億円以上の企業に勤務する課長以上の方々を対象に実施しました。」です。2025春の「はじめに」の文には、調査概要ページにある条件4にあたる記載がありません。

回答者の属性も年で動いています。2026春の報告書152ページの「回答者属性|役職」では、2025春の日本(n=945)が経営者2%・役員9%・本部長/事業部長11%・部長クラス37%・課長クラス41%、2026春の日本(n=932)が2%・10%・12%・34%・41%です。回答は、これらの条件を満たす個人が自社について答えたものです。同一企業から複数の回答者がいるかどうかについては、2本の報告書を見た範囲では記載を確認できていません。

6カ国比較は、同じ時期・同じ人数の回答か

条件の項目構成は日本と同じ4項目ですが、条件1と売上高の文言が日本の調査概要と異なります。実施時期は日本が2月、他の5カ国が3月で、回答者数は国ごとに異なります。前回からnが変わった国もあります。

「6カ国」は日本を含む数え方です。2026春の報告書73ページ(ページ番号の印字なし)の調査概要には、日本以外の5カ国の実施時期と回答者数が並んでいます。前回のnは、86ページの図の下に「前回」「今回」として並記されています。

同じ73ページの「調査対象の条件」は「各国の企業・組織に所属する従業員」「売上高500億円(日本円換算)以上」「課長職以上」「生成AI導入に対して何らかの関与がある人物(意思決定、企画検討など)」の4項目です。項目の数と並びは日本の調査概要(30ページ)と同じですが、条件1は日本が「日本国内の企業・組織に所属する従業員」、条件2は日本が「売上高500億円以上」で、この2項目は文言が異なります。6カ国側の調査方法も「Web調査」の1語です。

今回のn前回のn実施時期(2026春)活用中・推進中(5ページ)
日本9329452026年2月12日~2月19日87%
米国6706702026年3月9日~3月14日90%
英国4124122026年3月10日~3月17日89%
中国4125122026年3月9日~3月15日91%
ドイツ3091032026年3月10日~3月15日89%
韓国309155(2025春報告書では確認できず)2026年3月19日~3月25日93%

2025春の報告書40ページの調査概要に並ぶのは、米国670名・中国512名・ドイツ103名・英国412名の4カ国で、実施時期は米国と中国が2025年3月3日~3月18日、ドイツが3月4日~3月18日、英国が3月8日~3月18日です。2025春の報告書PDFの本文を「韓国」で検索した範囲では、韓国に関する記載は見当たりません。2026春の報告書86ページには、前回の韓国のnとして155が印字されています。

対象国の選び方は、2026春の報告書74ページ(ページ番号の印字なし)に記載があります。「日本以外の対象国は、生成AI活用の先進性および主要な規制動向を踏まえて選定した。」として、5カ国それぞれに1行の理由が併記されています。米国・英国・中国・ドイツの4カ国は、いずれも生成AI活用が進んでいるという想定で、英国には「欧州のEU AI Act非対象国」、ドイツには「欧州のEU AI Act対象国」という区分が添えられています。韓国だけは挙げられている観点が異なり、「地理的近接性に加え、アジアで初めて包括的AI法を可決しており法整備/ガバナンスで先行していると想定」と記載されています。

同じページには「属性分布の違いに関する補足」の欄があり、従業員数・売上規模・業種構成の違いが影響していないかを検証するために層化分析を実施したこと、そして「各層でも全体と同様の傾向が確認され、国別の差異は企業属性によるものではなく、実質的な違いを反映していると判断される」ことが記載されています。これは報告書に記載されたPwCの判断で、層化分析の層の定義と分析結果の数値は、2026春の報告書を見た範囲では確認できていません。

86ページの内訳は、日本が「社外向け提供」27%・「社内業務等で活用」44%・「具体的な案件を推進中」16%、米国が56%・10%・23%、英国が54%・11%・24%、中国が58%・23%・10%、ドイツが32%・19%・38%、韓国が35%・34%・24%です。この3つを足すと、日本87%、英国89%、中国91%、ドイツ89%、韓国93%となり、5ページの値と一致します。米国は3つの合計が89%で、5ページの表示は90%です。5ページには前掲の四捨五入の注記が置かれています。

回答者の企業規模は、どこまで示されているか

2026春の報告書150ページに売上高の6区分、153ページに従業員数の5区分の構成比が、2025春の日本と2026春の6カ国について国別に印字されています。

150ページ「回答者属性|売上高」の日本の列は次のとおりです。合計の列(n=3,044)は6カ国を合わせた値です。

売上高の区分2025春 日本(n=945)2026春 日本(n=932)2026春 合計(n=3,044)
1兆円以上37%35%15%
5,000億円以上1兆円未満14%15%10%
2,500億円以上5,000億円未満13%14%14%
1,000億円以上2,500億円未満17%17%24%
750億円以上1,000億円未満10%10%20%
500億円以上750億円未満8%10%17%

153ページ「回答者属性|従業員数」の日本の列は、2025春が300人以下2%・301~1,000人10%・1,001~5,000人35%・5,001~10,000人16%・10,001人以上37%、2026春が3%・11%・35%・16%・35%です。148ページに業界(16区分)、149ページに部門(13区分)、151ページに職種(17区分)の構成比も同じ形式で印字されていますが、この記事で扱うのは売上高と従業員数までです。この記事で扱っている87%は、これらの属性で層別した値ではなく、日本の回答者932名全体の値です。

87%は何人にあたるか

2本の報告書を見た範囲では、87%に対応する人数の記載は確認できていません。関連する数として、「活用中・推進中」の層に絞った設問のnが814と印字されています。

36ページの「『活用中・推進中』の層における自社での生成AI活用の効果」は、注記に「生成AIを『既に活用している』『具体的な案件を推進中』を選択した層に絞った設問」とあり、nは2024年春614・2025年春712・2026年春814です。この設問の値は、2026春が「期待を大きく上回っている」10%・「期待通りの効果があった」54%・「やや期待を下回る」20%・「期待とはかけ離れた結果になった」2%・「まだ効果を評価できていない」14%です。

このnを、同じ年の推進度合いの設問のnで割ると、次の値になります(いずれもこの記事での計算です)。2026春は814÷932=87.3%、2025春は712÷945=75.3%、2024春は614÷912=67.3%。35ページの帯グラフの「活用中」+「推進中」は、2026春が71+16=87、2025春が56+20=76、2024春が43+24=67です。報告書に、割合と人数を対応づけて示した記載は確認できていません。上の割り算は、印字された2つのnから記事の側で出したものです。

この記事で確認できなかったものは何か

2026春・2025春の報告書PDFと2026春の調査ページは取得できました。次の項目は、取得した範囲では確認できていません。

推測で埋めた数値はありません。表と本文の数値はすべて、2本の報告書PDFに印字されている値か、印字された値どうしの割り算(その旨を明記した箇所)です。

この数字で何を言えて、何を言えないか

言えるのは、87%がどの選択肢の合計で、どのnを100%とした割合かまでです。設問は会社の推進度合いを1つ選ぶ形式で、社内でどれだけ使われているかは測っていません。

言えること

87%の中身
「活用中」71%と「推進中」16%の合計です。71%はさらに「社外向けの生成AI活用サービスを提供している」27%と「社外向けには提供していないが、社内業務等で生成AIを活用している」44%に分かれます(164ページ)。16%の選択肢の文言は「生成AI活用に向けた具体的な案件を推進中」です。
100%にあたる数
2026春の日本の割合は、n=932を100%とした値です。932名は、売上高500億円以上・課長職以上・生成AI導入に何らかの関与がある人物という条件を満たす回答者です。
+11ptの出どころ
2026春の87%と、2025春の56%+20%=76%の差です。両年は、35ページの注記によれば同じ集計ルールで集計されています。
2023春の扱い
2023春は「活用中」にあたる選択肢がなく無表記で、「予算化済み」を統合し、属性を絞って再集計した値です。集計ルールが異なることは、35ページの注記から読み取れます。
4点のnが違う
238・912・945・932と、年ごとにnが異なります。同じ回答者に聞いたかどうかは記載を確認できていないため、同じ集団の推移として読めるかどうかは、この2本の報告書からは決められません。
6カ国のn
今回は932・670・412・412・309・309です。ドイツは前回103・今回309、韓国は前回155・今回309と印字されており、この2カ国の前回比は同じ大きさの標本どうしの差ではありません。
調査時点
日本の調査実施時期は2026年2月12日~2月19日、他の5カ国は2026年3月です。6カ国の値は、同じ日に取られた回答ではありません。

言えないこと

日本企業全体の割合
87%を「日本企業の何%」として読むこと。対象は売上高500億円以上の企業・組織に所属し、課長職以上で、生成AI導入に何らかの関与がある個人に限られています。
社内の利用実態
社内の何人が、どの頻度で生成AIを使っているか。設問は会社の推進度合いから1つを選ぶ形式で、利用者の範囲や頻度は測っていません。
87%=使っている
87%のうち16ptは「生成AI活用に向けた具体的な案件を推進中」を選んだ層です。87%を「使っている企業の割合」として扱うことはできません。
2023春との増減
2023春の「活用中」0%と2026春の71%を並べて増減を語ること。2023春は該当する選択肢がなく無表記だと注記されています。
人数への換算
932に87%を掛けた値を「活用中・推進中の人数」として示すこと。報告書に割合と人数を対応づけた記載を確認できていないため、印字された数ではありません。
韓国の前回比
韓国の「前回比」が何を基準にした差か。前回のn=155は2026春の報告書に印字されていますが、その調査の実施時期と対象条件は確認できていません。
回答した個人と企業
932名が何社にあたるか。集計単位は回答者(名)で、企業単位の集計かどうかの記載は確認できていません。
調査時点より後
2026年2月19日より後の日本の状況。この調査からは読み取れません。

調査ごとに設問と集計単位が違うために利用率が食い違って見える件は、別記事の調査ごとの設計の違いを並べた記事設問ごとに分母を確定させた記事で、それぞれ別の調査を対象に扱っています。

この記事は何を出典にしているか

  1. PwC Japanグループ|生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較(報告書PDF)
  2. PwC Japanグループ|生成AIに関する実態調査2025 春 5カ国比較(報告書PDF)
  3. PwC Japanグループ|生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較(調査ページ)
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